生存三十二日目。 ページ35
「却説、種を暴いた処で徐々……戻りましょうか、ねッ!」
「ッッ!」
突如、項垂れる様に低姿勢を取り、Aの方に駆け出す。闘い始めと同じ行動にも関わらず、依り疾い速度の裕慈の特攻に、Aは反撃を考えず辛うじて躱す。
然し、裕慈は攻撃する事無く、Aを通り越して直進し、先に有る木箱を蹴り上げて壊す。砕け落ちる木片を流れる様に掴み、其の侭頭上で腕を回して、木片をAの足元へ投げ付けると、能力の掛かった其れは、彼女の足元で爆ぜる。
予想外の攻撃に少し同様したAは、余裕なさ気に其の攻撃を右後ろに跳ねて回避すると、裕慈は新たに掴んだ違う木片をAが避けた処に当てる。其れも反対に跳ねて回避する事を予測していた彼は、予め持っていた板を
其れすら予想した裕慈は、今度こそA自身に、先程依り大きめの木版を投げ付ける。
寸での処で留まったAは、投げた直後の姿勢の裕慈と、五十糎の距離迄迫った木片とを目の端に映すと、余裕の無さを消す様に口の端を歪めた。
木片がAに当たる刹那に其れを見た裕慈は、次の瞬間に起きた事に動揺を隠せなくなった。
Aに当たる筈だった木片は、彼女との距離三十糎を残し、弾かれた様に裕慈の足元へと帰った。然して、其処で爆ぜる。
其れが当然で有るかの様に。
動揺で反応が遅れたが、体制を崩し乍らも辛うじて爆破を回避した裕慈は、地面に手を付いて後方に下がり過ぎるのを止める。
「あッれ?如何したの、其の汗?余裕無いみたいだけど?」
「貴女の異能、素晴らしいですね。攻撃を反射する異能でしょうか」
Aを無視して発した裕慈の讃辞──否、異能の推測に、彼女は一瞬きょとりと目を瞬かせたが、直ぐに喉を鳴らして笑い出した。
其の笑みには先程までの焦躁りは無く、寧ろ其の焦躁りが裕慈に移った様でも有る。
其の嘲罵を孕んだ笑みに、裕慈は疑念を抱いた。
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りく(プロフ) - 物部さん» き、期待していただけるなんて光栄です!!スランプにがっつりハマっていますが、頑張って更新します! (2016年11月28日 21時) (レス) id: ac95837323 (このIDを非表示/違反報告)
物部(プロフ) - 続き期待しています。更新頑張って下さい! (2016年11月21日 22時) (レス) id: fcc84377d6 (このIDを非表示/違反報告)
りく(プロフ) - つららっちょさん» んおおおお!そんな、そんな!嬉しいです!!ご期待に添えるよう頑張ります!!コメント有難うございます!! (2016年9月3日 21時) (レス) id: ac95837323 (このIDを非表示/違反報告)
つららっちょ(プロフ) - 夢主ちゃん幸せになってて良かった……!更新される度に心が踊ってました笑これからも楽しみです。応援しています! (2016年9月3日 21時) (レス) id: 134dceea58 (このIDを非表示/違反報告)
りく(プロフ) - あさぎり*さん» 最初から!頑張って更新します!!コメント有難う御座いました!! (2016年9月1日 7時) (レス) id: ac95837323 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:りく | 作成日時:2016年8月20日 18時