生存二十一日目。 ページ22
机の上に重ねて置かれた三枚の書類。
此れらは、御使いをするに当たっての詳細や注意事項の様な物が一枚と、御使い場所への簡単な地図が一枚。然して、危険とされる異能力者の詳細____と云っても能力不明で、何をして来たか程度の事____が書かれた物が一枚。
計三枚。
国木田の説明だと、此の依頼は軍警と使い先、両者の依頼で在り、軍警からの書類を使い先に渡して欲しい、と云う至って簡単そうに見える依頼らしい。
_____然う、見えるだけの。
事実、たった一つ如かない障害が、迚も大きな壁と成って立ち開かる______と云いたいらしい。
要するに、異能力者の存在が邪魔だから、書類を届ける序に異能力者を排除又は軍警に突き出して呉れ、と云う訳だ。
_______へェ、眼には眼を歯には歯を異能力者には異能力者を、つー理由ね。
_______人遣いは荒い卦度、此れ許りは
やれやれ、と溜息を吐きたくなる。
私と敦君が居れば、異能力者を排除しなきゃいけなく成るのは、当然の摂理か。
使えなそうで使えて仕舞う、机越しの太宰を見遣ると、和かな笑みで此方を観ている。
気味が悪いので、睨むと、更に笑みを深くする。
はっきり云って_______
_______気色悪い。
顔を逸らして国木田さんの方を向いて、説明を聴く振りをする。
本当は聴かなくても、目の前の書類を見れば大体判る。
だから其方をぼーっと観て居るだけ。
「と、云う訳だ。理解出来たか?特に太宰」
「えぇー。何故私なのだい?ちゃんと聴いて居たじゃないか」
「何が、ちゃんと聴いて居ただ、貴様ァァ!」
ぶう垂れて机に暢る太宰の首を掴み、ゆらゆらと怒り乍ら揺らす国木田さん。
其れを観て、鎮めようとする敦君。
嗚呼、多分、敦君の教育係は此の二人だ。
鎮まって来た国木田さんと愉快そうに笑う太宰を観て確信した。
「おぉそうだ。云い忘れて居たが、現在ポートマフィアとは休戦協定中だ。無碍に襲うなよ」
「無碍では無かったら?」
「其の時は其の時だ」
「Case by case.ですね。了解です」
三枚の書類と、御使い内容である茶封筒を持ち、鞄に入れる。
「じゃァ行きましょう」
敦君の呼び掛けに、ええ、と応えて歩き出す。
気を付けろよ、と国木田さんが云って居るが、一寸無視して、扉の前で振り返る。
「では行って来ます」
背後に、行ってらっしゃい、と云う声を受け乍ら、敦君と包帯野郎と共に探偵社を後にした。
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りく(プロフ) - 物部さん» き、期待していただけるなんて光栄です!!スランプにがっつりハマっていますが、頑張って更新します! (2016年11月28日 21時) (レス) id: ac95837323 (このIDを非表示/違反報告)
物部(プロフ) - 続き期待しています。更新頑張って下さい! (2016年11月21日 22時) (レス) id: fcc84377d6 (このIDを非表示/違反報告)
りく(プロフ) - つららっちょさん» んおおおお!そんな、そんな!嬉しいです!!ご期待に添えるよう頑張ります!!コメント有難うございます!! (2016年9月3日 21時) (レス) id: ac95837323 (このIDを非表示/違反報告)
つららっちょ(プロフ) - 夢主ちゃん幸せになってて良かった……!更新される度に心が踊ってました笑これからも楽しみです。応援しています! (2016年9月3日 21時) (レス) id: 134dceea58 (このIDを非表示/違反報告)
りく(プロフ) - あさぎり*さん» 最初から!頑張って更新します!!コメント有難う御座いました!! (2016年9月1日 7時) (レス) id: ac95837323 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:りく | 作成日時:2016年8月20日 18時