TOP5になりましょうや的な？Ⅲ (ページ26)

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坂道ページ26

「はっはっはっ…」

自転車のペダルを全体重で押し込み、坂を登る。
この坂を越えればレトさん家が見える。
冷たい空気がよく体に入る。
寒いんだろうけど目一杯立ち漕ぎしてる自分にはあまりわからない。
呼吸が乱れ、肺が縮まるような感覚。
まあいわゆる息切れだよね。

…けどそんなことも構ってられないくらいに、思考が一つのことに汚染されている。
それはまあさっきのキヨの行動？為したことが原因なんですけれどもね。

いや、元はと言えば自分のカマのせいで起こったことなんですが。
カマだと気づいてなかったこともそうだし、
気づいて安堵してたのがなんか引っかかるんですよね。
つか安心してもう用はねえと速攻家から送り出すのビックリだったが？
流れ早すぎてもう覚えてすらないぞ。

　「っはぁ、はっはあっ」

坂道を漕いでいく。
街頭や住宅が通り過ぎていき、坂の終点が見えた。

もやと冷たい空気の差に、心の掃き溜めのような黒い物が喉に詰まる。
嗚咽が漏れるような感覚で呼吸をする。
簡単に言えばただの物思い。
生きていれば何かに悩むことは当たり前だ。
人間である以上避けては通れない。

　「＿＿っっ〜〜ぐぅ！！」

坂道を登りきりムキになって顔をあげ、歯を食いしばる。
夜景が広がり、「都会」という言葉が頭に浮かび上がった。

ああ、そうだ。こんなに都会の夜景って綺麗だった。
そんなことをふと思う。

自分はあまり都会すぎるところは嫌いだった。
田舎すぎるよりはもちろんマシだ。
流石にPCの電波も飛ばず、ゲームが簡単にできないようなところは嫌いだ。
電車だって、最寄り30分に大きめの駅がなければ不便に感じる。
けど、人がうじゃうじゃ行き来し、ネオンが眩しい所はどうも嫌に思う。
みんな仕事に追われ、締切、納期、提出、そんなのに殺されかけてる。
終いには自ら命を断つらしい。
そんなのは先進国じゃ当たり前だとか。

…こんな都会も、高いところから見れば綺麗だとか思ってしまうんだ。
これは、染まってるのか、大きくなったのか。
どうなんだろうか。

　「…っふぅ」

坂道を登りきればもちろん下り。
火照った体に風がぶち当たる。
この瞬間は好きだな、幾つになっても。
足をペダルから離して広げる。
そんで思いっきり坂を下る。

もういっそのこと全部弾き飛んでしまえばいいとか思う。
叫びたい気分だ。

流石にしないけどね。