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「……なんだこれは」
小瓶の中身を揺らすとちゃぷんと小さな音が鳴る。
蓋を開けて匂いを嗅ぐが特に香りはしない。
戸棚からペトリ皿を取り出しそこに液体を一滴落とそうとしたが、小瓶からこぼれた一滴の液体はペトリ皿に落ちる前にひとつの小さな真珠へと姿を変えた。
コロン、高い音を立てて真珠が転がる。
まさかこれは。
「人魚の涙……!?」
これは、極東の国、ニホンに生息している人魚の涙。
だが確か人魚は保護指定生物にされていて、人魚に関する材料は入手がほぼ不可能なはず。
それを何故、フォーリーが持っている。
あの生徒がどの様にしてこんな貴重な物を入手できたのかとても気になったが、それよりも意識は目前の人魚の涙に移ってしまう。
これを使えば一体どんな新薬が出来上がるのだろう。
ぐるぐると頭の中で何通りもの調合方法を思案し、それを紙に書き留めては更に別の調合方法を思案して紙に書き留めるを延々と繰り返した。
……ふと気が付き羽ペンを動かす手を止め窓の外を見上げると外は薄暗かった。
てっきりもう夕暮れなのかと思い壁に掛けてあった時計を見て驚愕する。
違う、夕暮れじゃない、明け方だ。
まさか私は、昨日の昼から休みもせず何も飲み食いせず今まで人魚の涙を用いた新薬の調合方法を思案していたと言うのか。
……流石にはしゃぎ過ぎだろう、私。
羽ペンを置き背筋を伸ばすと背骨や肩がバキゴキと音を立て「ゔっ」と呻いてしまう。
か、体が痛い……それもこれもこんな貴重な物を気軽に私に渡したりするからだ、おのれフォーリー。
もう半ば八つ当たりの感情をあの白金色の髪を持つ生徒に向けていると、ふと机の端に乗っていた黒い二つ折りのメッセージカードが床に落ちる。
そういえばまだ目を通していなかったな。
長時間同じ姿勢をとっていたせいでギシギシと軋む腰をなんとか曲げながら黒いメッセージカードを拾い上げ中身を見ると、そこには滑らかな筆記体でこう書かれていた。
【あなたにとってこの日がよい日でありますように】
「……」
……まぁ、良い日にはなったか。
図らずしもかの生徒の思い通りになってしまったことが少しだけ腹立たしく、私はふん、と小さく鼻を鳴らした。
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夢川(プロフ) - とーるさん» コメントありがとうございます。淫夢、くそみそネタに気づいてくれた方がいる事実にニコニコしている夢川です。亀更新になりますがこれからも淫夢やくそみそネタを突っ込むので、生暖かい目で見守ってくれたら嬉しいです。 (2023年5月7日 18時) (
レス) id: f5c230c4ae (このIDを非表示/違反報告)
とーる(プロフ) - 主人公がすごく幸せそうで微笑ましいですね。この作品に巡り会えて本当に良かったです。ところで、作品の節々に淫夢、クソみそネタが見られるのですが、すごく好きなので嬉しいです。知らないなら、淫夢とかクソみそについては調べないでください。汚れてしまいます。 (2023年5月7日 9時) (レス) @page38 id: 8f3ff0fe85 (このIDを非表示/違反報告)
箱 - ステキな作品を書いてくれてありがとうございます (2023年3月27日 17時) (レス) id: e97eef8072 (このIDを非表示/違反報告)
夢川(プロフ) - リンさん» コメントありがとうございます、とても健康的な生活ができていますね! 本番が程よく執筆できたら短編集も作成していきます! (2023年3月25日 22時) (レス) id: f5c230c4ae (このIDを非表示/違反報告)
夢川(プロフ) - ももなさん» コメントと応援ありがとうございます、短編集も本編が程よく執筆できたら作成しようと思います! (2023年3月25日 22時) (レス) id: f5c230c4ae (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：夢川 | 作成日時：2023年3月24日 7時
