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22、一緒に帰ろう ページ22

「ふぅん?」
「きょうは……恥ずかしいから、どうしても!いやなの」

声色からは彼の感情を読み取れないけれど。やっぱり、怒ってる?……ど、どうしよう。
零さんに、嫌われたくない。わたしのこと…好きになって欲しい…。

でも、今は貴方の顔を見るだけでドキドキして苦しいもん。頬が、あつい。いつも通りでいられる自信ない。
私ばっかり貴方のこと、どんどん好きになっているような気がして……ホントに

いやなんだ。


「じゃあ……」
「っ、」

ギシ、とベッドの軋む音が聞こえた直後、耳元で囁かれた彼の声に息が詰まった。

『攫ってく』。


驚いて声をあげる暇もなく、気がつけば身体がふわりと浮いて彼に抱きかかえられていた私。

「っ、れ、れいさん!」
「……なんだ」

ムリムリムリ!!!本当に恥ずかしい!なんだこれ!
真っ赤に染まった私の顔を見た彼は、悪戯っぽく笑った。

「俺から逃げられると思うなよ」

「……っ、この警察官やだよぉ!」

ーおまわりさん、たすけて!
両手で顔を覆って、足を思い切りじたばた。私に出来る精一杯の抵抗……も、虚しく。全く動じない彼の体幹に関心する。


「…A」
「……ハイ」

子供を落ち着かせるような優しい声で名前を呼ばれて、しゅんとする。顔を覆っていた手を離して、足をピタリと止めれば彼は『いい子だ』なんて呟いた。

……はぁ、完全に子供扱い。女性として見てもらいたい、って本気で思っているのに、このザマですよ……自分の無力さに落ち込む。
小さな声で、『降ろして』って伝えたら彼はすぐに言う通りにしてくれた。ありがとう…。

「勝手に部屋に入って、悪かった」
「それはもういいの…零さんだから」

私の言葉を聞いた彼は優しく微笑んで、そっと頬を撫でてくれた。
その優しい表情に、何故か涙が滲みそうになる。
う、やっぱり大好きです……。

「Aがいない家に帰りたくない」
「れ、零さん…」
「いい歳して、子供みたいだろ?」

楽しそうに笑う零さんに釣られて、私もクスクスと笑ってしまった。
零さんも、私も……子供みたいだ。ありがとう。すごく嬉しいよ。

いつも貴方は、私の気持ちに寄り添って。私が欲しい言葉をくれる。

「俺の家に、一緒に帰ってくれるか?」

私の乱れた髪をそっと整えてくれた彼は、しっかりと目を見つめながら聞いてくれた。
……わたしだって、零さんがいない夜は寂しくて仕方ないんだもん。

私の答えなんて、分かりきってるでしょ?

「…もちろん!」

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作者名:re | 作成日時:2021年1月27日 18時

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