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31、ポアロでの雑談 ページ31

ーー

僕以外誰も居ない、静かなポアロ店内。

カラン、とドアベルが鳴って、手元からすぐに顔を上げると、見慣れた小学生が立っていて。


「やぁ、コナン君。いらっしゃい」
「こんにちは」

学校帰りらしい彼は、カウンター席に座ると僕をじっと見つめてきた。

1人でここへ来たのは…僕に、話があるからだろう。
笑顔で首を傾げて見せる。


「…ん?何か聞きたい事でも?」
「いや…そういう、訳じゃ…」

歯切れの悪いコナン君の返事に、クスクスと笑ってしまった。
遠慮してはいても。やっぱり、詮索好きは詮索好き…だな。


「Aさんのことが気になっているのかな?」

「『Aさん』って…一昨日、安室さんと一緒に水族館にいた、お姉さん?」

「うん、そうだよ。…はい、オレンジジュース」


グラスを受け取ってお礼を言ったコナン君に、『これ、食べる?』と手元を見せながら笑顔で問いかける。

『いいの?』なんて聞いた彼の前に、出来上がったばかりのパフェを置いた。

それを見つめたコナン君は、すぐに首を傾げて。


「あれ?いつものパフェと違うね」

「さすが、常連さんだ」

『元太がよく食べてるから…』と苦笑したコナン君に釣られて、僕はクスクスと笑う。


「新メニュー?」

「違うよ。個人的に作ってた、試作品」
「個人的に?」
「うん」

カチャカチャと音を立てながら片付けをしていると、コナン君が不意に口を開いた。


「…安室さんに抱きしめられて、あそこまで嫌がる女の人も珍しいんじゃない?」

「ん?うん、そうだね。彼女、すごく変わってるから」

「へ、へぇ…」

笑顔で肯定した僕に、コナン君は乾いた笑いを零した。
君に対して今更謙遜したって、意味ないだろ?


それ以上、Aについて何かを聞くわけでもなく。
パフェを頬張って『これ美味しいね。ポアロでも出したら良いのに』なんて笑った。

ううん。
…ポアロのメニューにはしないよ。


「ありがとう。……それより。君なら、もっと彼女のこと詮索したがるかと思ったんだけど。その為にここへ来たんだろう?」

「うん、まぁ…確かに気にはなるけど……あの感じ、悪い人では絶対にないと思って…」


そう言ったコナン君は、水族館での事を思い返しているのか、小さく笑った。
まぁ、あんなに緊張感のない " 組織 " の人間、いる訳がないからな。


「だろうね。彼女は、人より随分抜けているだけの…ただの一般人だよ」

クスクスと笑いながらそう言えば、『やっぱり』と呟いた。

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真実(プロフ) - reさん» どの小説も読みやすかったです。一目惚れのお話は読んでいてこんな一目惚れの仕方もあるのかと感心しました!リクエストの件、ご無理はなさらずに形に出来そうであればお願いします!! (2021年8月6日 13時) (レス) id: 19057a7d80 (このIDを非表示/違反報告)
re(プロフ) - 真実さん» ぇええ?!全部読んで下さったのですか…?!(;-;)貴重なお時間を私の小説に割いて頂いて…う、嬉しすぎます…!本当に幸せです、ありがとうございます(;-;)一目惚れのお話も読んで頂けて幸せです…!リクエストのお話もいずれ形にできるよう、頑張りますね!^^ (2021年8月6日 7時) (レス) id: 963c697df1 (このIDを非表示/違反報告)
真実(プロフ) - reさん» 読んでいてお互いの気持ちを考えているのが分かるのでキュン死するかと思っています(因みにreさんの小説は全部読破しております/リクエストした際に言っていた降谷さんの一目惚れの小説も読みました) (2021年8月5日 21時) (レス) id: 19057a7d80 (このIDを非表示/違反報告)
re(プロフ) - 真実さん» 真実さん、コメントありがとうございます…!2人の、お互いを大切に想う気持ちを伝えられているのなら、私はとても幸せです…(;-;)とても嬉しいお言葉、いつもありがとうございます…!2人の幸せのために、続編も引き続き頑張りますね!^^ (2021年8月5日 19時) (レス) id: 963c697df1 (このIDを非表示/違反報告)
真実(プロフ) - 夢主には夢主の苦悩、降谷さんには降谷さんの苦悩と言うものがreさんの小説から痛いほど伝わってきますね。けど、それはお互いを大切に思っての事だと思うと切ない気持ちになります。続編も楽しみにしてます!! (2021年8月5日 13時) (レス) id: 19057a7d80 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:re | 作成日時:2021年7月25日 15時

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