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それでも夫婦
全く受け入れないのは勿論なかったし、雅紀のことは普通に好き
飛び抜けてこの人じゃないと！というような魂の震えはないにせよ、こんなにわたしのことを無条件に愛してくれる人なんて日本のどこを探してもきっといないだろうと思う
毎日は穏やかでおはようと同じベッドで朝を迎えるし行ってきますのキスもする
記念日やイベントには腕をふるったし極々普通の新婚生活を送って早2年
夕方雑貨屋さんのパートを上がり着替えていたらLINEがきていて雅紀からだった
"仕事終わったから外で食べよ"
時刻は数分前で"わかった"とスタンプと一緒に送りすぐに既読がつく
少し広めの西通りまで出て二人でお気に入りのイタリアンのお店に入る
先に頼んでていいよ？ とLINEをしたが取り込み中なのか既読にならずそのままお店について中に入ると雅紀の姿を過ぎに見つけた
「お疲れ！」と懐っこい笑顔でわたしを迎えてくれて「お疲れ様、LINEしたのに」と笑いながら言う
うっそー！ごめん、今の今まで通話中だった！なんていつもと変わらない会話
適当に注文して雅紀が珍しく「ワインでも飲んじゃおっか」と笑顔
ウエイターさんにボトルで頼み「明日仕事じゃないの？」
少し心配になる
ふふっと意味深に笑う雅紀の口が開き
「お祝いだからいーの！」と言う
お祝い…
誕生日はまだ先だし…お祝い…？
首をかしげると先にワインを持ってきてくれてポンっと勢いよくコルクが抜かれる
コポコポとワイングラスの3分の1ほど注がれた白ワインにグラスを傾け雅紀は続けて「横浜に帰るよ」と移動の報告を口にした
このタイミングで雅紀の移動が決まらなければ、
あと1年遅くに帰っていたら
翔くんと会うことも
きっと過去を掘り起こして記憶が蘇ることもなかったのに
ただこの時は慣れた都会、知ってる顔ぶれの揃う街に帰れることが嬉しくて
雅紀の昇格祝いも笑顔でお祝いできたね
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作者名：しろねこ
| 作成日時：2015年10月29日 4時
