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その「ありがとうございます」の意味が純粋にさっぱり分からなくて、反応を返すことさえ遅れてしまった。



「だって先生、私の為に嘘付いてくれたんですよね、彼女居るって」



満面の笑みを浮かべながらそう言い放った彼女に、普段通りにと貼り付けた仮面が、ぼろぼろと崩れ落ちていく。



「え、っと....どういう事?」

「だって、わざわざ彼女が居るなんて言う必要、無いじゃないですか。


__それって、私を庇う為、じゃ....ないんですか?」



あまりにも純粋な、小動物のような目がこちらを射抜く。
....やめてくれ、何の疑いもなく僕を信じるのはやめてくれ。....僕はそんなに、出来た人間じゃない。



「....ちゃうよ」

「え?」

「噂、ちゃうよ。お付き合いしてる人ちゃんと居るから。Aと付き合ってるなんて噂も、その時知ったし」



想像以上に冷たく低くなってしまった自分の声に、目の前の彼女の表情に。嗚呼、また深く傷付けてしまったな、と思った。



「そう、なんですね」

「うん」

「....え、っと。明日また課題持ってきますね」



....何や、その顔。作り笑いにしたって下手過ぎるやろ。


そんな、到底笑顔とは呼べない酷い表情の彼女は、鞄を手に逃げるように出ていった。




....ごめん。ごめんな。

でも、世間一般からすればこれが正しいはずなんだ。....普通の、生徒と教師に戻るだけだ。




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作者名:らぱん( ・×・ ) | 作者ホームページ:http://uranai.nosv.org/personal.php?t=d9fece3f785bc7d3ebaeeecd6103e95f...  
作成日時:2019年2月23日 17時

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