一番にはなれない【💛】 (ページ28)

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そんな毎日にもすっかり慣れた、6月末。
もうすぐまたテストだなぁ、三日間の勉強会ではしゃいでたの、懐かしいなぁ。なんて、思っていた頃。

昼休みの購買。順番待ちの人混みで、こんな会話が耳に入ってきた。

「ねぇ知ってる？折原先生の噂」

「え？折原先生って、世界史の？イケメンだよね～」

「だよね～....」

思わず振り返った目線の先にいたのは、二年生の女の子三人。....先生の話してる。やっぱイケメンだよね、先生。
そう思いながら聞き耳を立てていると、その後に予想外の言葉が飛び込んで来た。

「でもなんか最近さ、三年の女の子と放課後、よく一緒に居るんだって」

....え？

「え、そうなの？」

「あっ、それ聞いた事あるかも。バレー部の友達が下駄箱に居るの見たとか言ってた」

「それそれ！やばくない？なんかいい感じの雰囲気だったらしいし」

「え、まさか禁断の....？」

見知らぬ二年生三人の黄色い声が上がった所で、購買のおばさんに声を掛けられて我に返った。
適当にパンを買ってその場から離れたけど、頭の中ではその三人の会話がぐるぐると回っていた。

....さっきのって、私と先生の事だよね。

いい感じに、見えてるのかな。カップルっぽく見えちゃったり、してるのかな....

にやけそうになるから授業に集中しようと思ったけど、それすら出来ない程に、その噂話は私の心を浮つかせた。

放課後も、資料室に入ろうとしていた先生を「千羅先生」って呼び止めて。
「ちょ、二人の時だけって言うたやろ？」なんてちょっと焦る先生に「ごめんなさい」って笑って。

他の子とは違う距離感に居るんだ、私。

....でも、まだ足りない。

あの子達が想像したような関係にまで、なりたいの。

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