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それからは、課題を出す時だけじゃなく、それ以外の日も社会科の資料室に顔を出した。


特に中身のある話も....していたかもしれないけど、あんまり覚えていない。
それよりも、先生が仕事をしているところを眺めている時間の方が多かった気がする。

会話のないその空間で、読書をしたりその日出た課題を解くフリをしながら、仕事をする先生を盗み見るだけ。

それでも幸せだと思えるくらいには「先生と一緒に居られる」事が嬉しかった。


そうして資料室に私が来るのに先生が慣れた頃、先生のことを「千羅先生」って呼んで良いですか、と聞いた。

面倒やから二人の時だけやで、なんて笑った先生のその笑みは、なんだか普段よりすこし子供っぽかったのを覚えてる。



そうして幸せな時間を過ごして、夕日が落ちる頃には電車に揺られて家へと帰る。

玄関の扉を開けて、そこに自分のより大きなローファーがあるのを見て、小さくため息を吐いた。



「ただいま」



靴を脱いでスリッパに履き替え、ダイニングへの扉を開けて呟くように声を掛ける。

「おかえり」が返って来ない訳じゃない。
だけど、部活から帰ってきた弟と夕食の準備をする母親の居るその空間はやっぱり居心地が悪くて、まっすぐ自分の部屋へと向かった。




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作者名:らぱん( ・×・ ) | 作者ホームページ:http://uranai.nosv.org/personal.php?t=d9fece3f785bc7d3ebaeeecd6103e95f...  
作成日時:2019年2月23日 17時

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