鱗滝の一番弟子は失わない 4 (ページ2)

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121話ページ2

giyuu.side

時「冨岡さん。俺はゆきなさんの事が好きです。貴方と交際していると知ってなお、諦められないくらいに。」

「……」

改めて自分の恋人への好意を聞かされるとなんとも言えないような気持ちになる。

時「今日の事で冨岡さんがゆきなさんを守るに値する力があるということは理解しました。それでもどうか一度だけ、ゆきなさんに想いを告げる機会を頂けないですか？」

「…」

時透の気持ちは痛いほどわかる。しかも恋人のいる今のゆきなに想いを告げるのは相当な勇気がいるはずだ。

「俺に、お前の告白を止める権利はない。好きにすればいい。」

正直、伝えてほしくはない。だが、伝えた方がいいと思う気持ちも確かに本心だった。前者の気持ちの方が強いが。

時「ありがとうございます。」

「礼を言われる事は何もない。…決めるのはゆきなだからな。」

時「そんな事を言って、もしゆきなさんが俺を選んだとしても冨岡さんが諦めてくれるとは到底思えませんが。」

いつもの無表情にほんの少し笑みを浮かべながらそう言った時透の顔に光が差し込み、朝の訪れを告げた。