え？彼氏？一般人ですけど。 THE FOURTH

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Aside

どうして彼女達がここに？？

2人は長身のお父さんの血を受け継いで私よりもずっと背が高く、信じられないくらい足が長かった。

2人は学生服を着て、ローファーを履いていた。

それでも私よりも背が高いけれど。

彼女たちはキツくアイラインを引いた目でぎろりと男性を睨みつける。

ぱっちりとした目なだけに、威圧感はひとしおだ。

「あの、うちのお姉ちゃんに抱きついてましたよね？
そういうの迷惑なんですけど。
お姉ちゃん彼氏おるし。

そらちゃんそらちゃん言うてるけど人違いやし、そもそもあんなん本人やってもしたあかんでしょ」

「もういいよ、月。
この人怖いし、関わらんほうがええって。

行こ、おねえちゃん」

ガシッと二の腕をつかまれ、大股でその後を去る夢ちゃんに引きずられるまま。

2人の顔は険しい。

建物の陰に連れてこられた途端、夢ちゃんが叫ぶ。

「Aちゃんッ！
ゆうちゃんどこなん」

『え、あ、く、くるま…』

「はあ？なにしてんのゆうちゃん！」

鬼の形相のごとく顔を歪めた月ちゃんがスマホをすいすいと操作する。

「ちょっとゆうちゃん?!
どういうつもりなん、Aちゃん身バレしかけとったんやけど。

しらんきっしょいオッサンに絡まれてて。
そらちゃんですよねぇ、とか言われて大変やったんやからな。
怖くて泣いてちゃってるし。

…はあ?!助けたに決まってるやろ!!
はよ来てよ、とにかく。

…ん、物販列から真逆の方向のはじっこおるから。
はよきてや。」

ブチッと電話を切る月ちゃんは、苛立った表情で舌打ちした。

美人の怒り顔は怖い、ということがよくわかる。

「もうっ、なにしてんの…」

『つ、月ちゃんこそ…なんでここにいるの』

「え？もう春休みやもん。

そらるさんのライブみにきただけやで」

『2人だけで？』

「いや、もう高2やで？
もう国内ぐらいやったらどこでも行けるよ」

『まって、お兄ちゃんのリスナーだったの？』

「んー、Aちゃんのお兄ちゃんが活動してるって聞いて調べたら沼った」

『うそ……』

「ビックリしたいのはこっちやわ！！！

顔だしてないとはいえふらふらふらふら1人で！
ライブ会場で変なおっさんに抱き寄せられてるAちゃん見ると思わんかった」

「Aちゃん、もっとはっきり嫌って言わなあかん。
ハッキリ言って、さっきのAちゃんの抵抗は相手を付け上がらせるだけやで。



ほんまに、痛い目合うよ」

夢ちゃんのその言葉が、嫌に心に響く感じがした。

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