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Aside
チャイムを押すと、すぐに開くドア。
「おかえりー!」
『ただいま!』
無邪気に笑う悠は、うらた先輩から貰ったという猫ちゃん柄のエプロンを身につけていた。
なんだその柄、かわいい。
「会社どうやった?」
悠ははやくはやくと私の手を引いてリビングへと誘導する。
わくわくうきうきしてるのが目に見えてわかって、かわいい。
『うん、みんなあんまり変わりなかったよ。
仕事もちゃんと通常のペースでやってたし会議もしてから普通に今まで通り復帰できるって。
わ、夜ご飯作ってくれたの?』
「まあカレーレンチンしただけやけど。」
『それだけでも嬉しいよ』
ありがと、と声をかけるとまあね、とおどけた声が返ってくる。
でも、目から「褒めて!」というキラキラした本心が伝わってきたので、頭をわしわしする。
すべすべぷにぷにのほっぺを掴んだり、引っ張ったりもする。
「俺、これすき」
『撫でられるの?』
「ん、そう。
あ、でもでも、ほっぺいじられるんも好きかも。
意外と、ね」
『えへ、わたしも』
いつもなら「やめろや」って面倒くさそうな顔をするけれど、今日は違った。
嬉しそうな顔を隠そうともしないから、私も嬉しくなる。
「はいはいはよ手洗いうがいしてきなさい
雑菌だらけの手で俺の綺麗なお肌を触らんといて」
『あ、照れてる』
「照れてないわ気持ちわる」
『かわいいよ』
「かっこいいがええなあ」
「ええからはよ手洗いうがい!」と背中を押されて乱暴に洗面所に押し込まれる。
はよ飯食お、腹減ったー、とわざとらしい大声で喚く照れ隠し。
大人しく手洗いうがいをして、部屋着に着替える。
ネックレスとピアスを外して、髪の毛をほどいて。
「まだあ?」
『はいはい今行く』
急かされるままに食卓につけば、悠は嬉々とした表情で手を合わせる。
「いただきまーす!
うわ、美味そ…」
『いただきます』
ぱくり、と悠は大きく口を開けてカレーを食べる。
『おいし?』
「ん、んまい!」
ご飯を美味しそうに食べてくれる人が好きだ。
それが自分の好きな人なら、なおさら。
美味いね、いつもありがとう、って悠が言う。
じわじわと、心があたたかくなる。
しあわせだなあって、急に実感する。
もうなりすましなんてどうでもよくなるほど、幸せだ。
「ん、どしたん」
『なんか、楽しくなってきた』
「えーなにそれ、酔っぱらってんの」
彼が少し引き気味でいうから、また、笑ってしまった。
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いろみず(プロフ) - うぐぅ…尊し… (2021年9月12日 21時) (レス) id: be92b83ba0 (このIDを非表示/違反報告)
いろみず(プロフ) - 弥生2nd@夢見月さん» いつ見てもお肌綺麗ですよね…特にセンラさん(( (2021年8月7日 22時) (レス) id: be92b83ba0 (このIDを非表示/違反報告)
弥生2nd@夢見月(プロフ) - いろみずさん» そりゃもううらたさんとセンラさんはうしさせの美肌代表ですから… (2021年8月4日 0時) (レス) id: c09bebec20 (このIDを非表示/違反報告)
いろみず(プロフ) - 「いいな、その肌。くれ。」で盛大に吹いた(( (2021年8月2日 10時) (レス) id: be92b83ba0 (このIDを非表示/違反報告)
弥生2nd@夢見月(プロフ) - いろみずさん» 全然返信できてなくてごめんね…また読みに来てくれて嬉しい!さかたん応援隊が増えたなあ… (2021年7月10日 21時) (レス) id: c09bebec20 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:弥生2nd@夢見月 | 作成日時:2020年11月29日 1時