え？ 彼氏？ 普通に一般人ですけど。【となりの坂田。】

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Aside

『まふくん来たよー』

｢あ、どーも皆さんこんばんはー！
まふまふでーす｣

うお、まふくんのお仕事モード。

なんかレアで、面白くてくすくす笑うと睨まれた。


》本当に来たんですか?!

》そらるさんの奇行教えて！


｢そらるさんの奇行？
そらるさん、言ってもいいですよね？｣

まふくんはすごーく嬉しそうにちらちらとお兄ちゃんと私を見ながら言う。

質問の形をとっているけれど、こういう時のまふくんは決まって止めても聞かない。

｢もう俺は知らない……｣

それを分かっているからかお兄ちゃんはすっかり諦めモード。

私はお兄ちゃんの黒歴史を聞きたくてワクワクしてるけど。

｢例えばぁー、僕達が高３で妹ちゃんが高１の時にそらるさんずっと妹ちゃんの彼氏のフリしてましたよね？｣

『そんなことあったっけ…？』

｢あったあった！
だって僕天月くんとくろちゃんと必死に止めましたもん｣

『あー、あれね！』


》そらるさんww

》天月くんとくろちゃんとも知り合いなの？


コメントを見て、察する。

『ああ…くろちゃんと天月くんも歌い手さんなのね…』

私の周り歌い手多すぎないか？

それだけたくさんに人に秘密にされていたショックは中々大きいぞ。


》ごめんなぁーまたご飯いこ！@96猫

》いやー、高３の時のそらるさんのセコムっぷりは酷かった…@天月


｢そういやさ、なんで急に俺ん家来たの？
彼氏はどうしたんだよ｣

昔話で盛り上がっていると、お兄ちゃんが小さな顔を僅かにかたむけてこっちに聞いてきた。


》妹さん彼氏いるの?!

》彼氏そこ変わって欲しい…


｢だって僕達の中で唯一青春らしい青春過ごしてたもんね。

それで、彼氏どうしたの？｣

『まあ、うん、色々あって…

なんと言いますか…“浮気”されてるみたいで…』

ガタッ!!!

お兄ちゃんが勢いよく立ち上がって部屋を出ていこうとする。

｢ちょっと俺、あいつ殴ってくるね｣

｢そそそそそそらるさんんんん!!!

ステイッ、ステーーイッッ!!!｣

まふくんは真っ青になってお兄ちゃんにしがみついた。

『お兄ちゃんっ、これ私達の問題だから!!!
お兄ちゃん関係ないから！』

私も同じようにお兄ちゃんの腕を掴んだ。

確かに悠に腹は立つけれど、彼にはお兄ちゃんの地獄の説教を味わう義理はない。

そこまで酷いことはしてない＿＿＿はず。

｢でも、あいつが浮気…想像できないけどなぁ｣

まふくんが言ったことに力なく頷いた。

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