私は…皆と一緒に居たい…6【フルーツバスケット】

綾女参上 ページ7

綾女「人の目覚めを妨げた挙句､髪まで
纏めさせてくれないのだからね！！
だがもう心配無用だ由希！弟思いNo.1の
このボクは今まさに参上奉ったよ！！｣




勢いのある言葉とは裏腹に､ポンと由希の頭に乗せた
手は優しく､暖かい｡


由希はそれだけで､凍りついていた心が溶けたような
気がした｡





｢き…ああああぁぁぁ！！」
由希｢え！？｣





由希とは反対に奇声を上げ壁沿いへと逃げた母親に由希は
思わず驚きの声をあげた



いつもの態度の母親のこんな表情も声も見たことがない｡





｢ど､どど､どうしてアナタが此処に来るの！！｣


綾女｢このバラは貴女に…我が愛しの弟に道を指し示しつつ
女性教師というシチュエーションロマンまで与えた
もう素晴らしき存在へ経緯を込めて…｣

白木｢はぁ、どうも…｣





取り乱す母親を無視し薔薇の花束を白木へと手渡した綾女は
母の座っていた椅子に座り､バシバシと机を叩いた





綾女｢では！さっさと面談を始めてくれたまえ！！｣
｢人の質問には答えなさい綾女！！｣



綾女｢少し静かにしてもらえまいか母君…由希の大切な将来に
ついて語り合わねばならないのだ、邪魔をするなど
愚の骨頂だね！！｣



｢ア､アナタが邪魔しにきたんでしょうに！！｣





やれやれと呆れる綾女に､母親の鋭いツッコミが刺さる｡
しかしそれにも動じないのが綾女である｡





綾女｢怒鳴らないでくれたまえ｡由希もボクも繊細なのだから｣
｢誰が怒鳴らせてると思ってるのよ！！｣



由希「(母さんって…兄さんをここまで苦手にしてたのか…)」
白木「(やっぱ綾クンは大物だよな…)」

『(綾女さん凄い…)』




｢兎に角、由希の事に余計な口を挟まないで頂戴！！なんなの
今更！放ったらかしにしていたくせに！アナタといると
由希まで碌でもない人間になってしまうわ！！」

由希｢頼りになる人だよ…兄さんは｣




母親と綾女とAは思わず由希を見る｡




由希｢そりゃぁ…めちゃくちゃなトコロも多いけど…碌でも
なくなんか…無いよ｣

綾女｢……っ｣



由希｢やめろ…はとりに報告するのだけはやめろ…！！
なんだそのいい笑みは…｣




感極まり､ポケットから携帯を出す綾女の手を
由希はすかさず掴んだ｡




綾女｢案ずるな！メールに認したためるからね！！｣
由希｢同じことだよ！！｣




いつものようなやり取りをする由希達だったが



母親にとっては信じられない光景に映ったようで
震える声で問いかけた｡

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