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『...m、んぅ』
大野君に休むように言われて意識を手放して...どのくらい経ったのだろうか。
再び目を開けると真っ白な天井が目に飛び込んでくる。
『...ん?』
よくよく耳を澄ませてみると左の方からかなり静かな寝息が聞こえる事に気付いた。
首をゆっくり左へ回してみるとソファーに腰かけて目を閉じている神谷さんがいた。
『寝て、る?』
枕元に置いてあった時計を見るとあと1時間弱で日付が変わろうとしていた。
疲れてるのにこんな所で、、、つーか、今日の仕事どうなったんだろ。
...中止かな、中止にならなかったとしても迷惑かけた事には変わりない。
神谷「余計な心配事してるなら寝たら?」
『っぅ!!..神谷さん、起きてたんですか?』
神谷「今起きたの」
『い、、家で寝た方が...』
神谷「明日オフだからいいの」
『で、でも』
神谷「..何で言わなかったの?」
『え...』
神谷「呼吸器系に過剰に負担をかけたらダメなんだって、何で言わなかったの?」
『..神谷さんに関係ないでしょ』
神谷「は?」
『..は?』
神谷「はぁ...もう怒る気も起きないわ」
『そりゃどうもすいませんでしt、』
神谷「心配した」
『しん、ぱい?』
神谷「当たり前だろ?!急に倒れて動かなくなってあの場にいたみんなが心配したっ!!」
『ご、めんな、さ..い』
神谷「...A君がどんな過去を経験してても、今どんな障害を背負ってたとしても
俺は他の人と比べて贔屓したりはしない」
『贔屓なんて望んでn、』
神谷「でも軽蔑もしない」
『っ......、怖かったんです』
神谷「...」
『どんどん後輩に追い抜かれて置いて行かれて、自分に価値を見出せなくなって
この身体の事を知られたら..お前はいらないって切り捨てられるんじゃないかって』
神谷「...そんな事しないさ、だってA君の周りにはたくさん味方がいるんだから」
『...神谷さんも』
神谷「ん?」
『神谷さんも、味方...ですよね?』
神谷「....早く寝ろ」
『あ、今照れた!照れたでしょ?!』
神谷「うっさい、ガキは早く寝てしまえ」
『あ”っ!ガキって言いましたね?!僕はガキなんかじゃない!』
神谷「俺から見れば充分ガキだ」
『...おっさん』
神谷「ああっ?!」
『おやすみなさーい』
神谷「あ、こらっ!都合よく逃げんなっ!!おいっ」
この日は俺にとって、とても重要な日になったような気がする。
それは自然と自分の事を「僕」と言えるようになっていた事が証明していた。
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ちゃら - 凄い面白くて感動しました!素晴らしい作品をありがとうございます! (2018年3月19日 8時) (レス) id: b7f29ff674 (このIDを非表示/違反報告)
さおりん(プロフ) - 完結おめでとうございます!!すごく面白かったです!最後、泣きました。 (2017年7月19日 21時) (レス) id: 2014ee90c2 (このIDを非表示/違反報告)
Shima(プロフ) - ゆうとさん» コメントありがとうございます(^ ^)! (2017年1月30日 0時) (レス) id: da5ff44bdc (このIDを非表示/違反報告)
ゆうと - 完結おめでとうございます。面白かったです。 (2017年1月29日 23時) (レス) id: 198d87855b (このIDを非表示/違反報告)
Shima(プロフ) - あんみつさん» コメントありがとうございます!そう言っていただけて何より嬉しいです(^^) (2017年1月21日 23時) (レス) id: b63e7ea894 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:Shima | 作成日時:2016年10月10日 21時