検索窓
今日:13 hit、昨日:1 hit、合計:44,262 hit

35 ページ38

私は下野さんにホールドされて動けなかったが、人が見ている気配だけは
ヒシヒシと感じていた。

『し、下野さん..あの、』

母「あら?A?」

『っ、おかあ!』

下野「えっ!!?」

私と下野さんは咄嗟に身体を離したが、その姿はバッチリ見られてしまった。

『あ、あのね!おあか..この人、』

下野「す、すいませんっ。僕はAさんのっ、」

母「A、こんな顔の同級生おったかいね?」

『...え?ど、同級生?』

母「Aの学年に、こんな可愛らしい顔の子おったかねぇ..
お母さんダメやね、すっかり忘れしまって(笑)」

『ち、違うって!!この人は東京の人!梶さんの先輩で
私がとってもお世話になってる人なのっ!!』

母「..梶さんの先輩ちて...、どう見ても20代で、」

下野「すいません、僕36才なんです」

母「...あら〜、東京の人は男の人も若々しいんやねぇ」

下野「あはは(汗)、下野紘と申します。初めまして」

抱きしめられていた事は幸い突っ込まれる事なく、その場は収まった。
下野さんに心臓の音が聞こえてしまうんじゃないかと思うくらい、
私の身体は血が追いついていなかった。

その後はお父さんの病室で、しばらく談笑していたが梶さんが時計を見て
すくっと椅子から立ち上がった。

梶「すいません、僕新幹線の時間がありまして..そろそろ失礼します」

母「あら、そうなの?」

梶「すいません、明日は仕事なもので..」

父「わざわざ、すまなかったね」

梶「いえ、お大事になさって下さいね」

私と下野さんは、病院の出入口まで梶さんを見送りに出た。

『梶さん、本当にありがとうございました』

梶「ううん、お父さん大丈夫そうで良かったよ」

『気をつけて帰って下さいね』

梶「ありがとう..下野さん、」

下野「ん?」

梶「あと、お願いしますね♪」

下野「ん?うん..」

梶さんは意味深な言葉を下野さんにかけて、タクシーに乗って駅へと向かって行った。

『下野さんも、来て下さってありがとうございます。本当に..』

下野「いいって、気にしないで?」

『..そういえば、下野さん今日は...」

下野「うーん、まだ場所は決めてないんだけど..
近場の安いホテルでいいかな〜って」

『..ホテルですか?』

下野「うん、ビジネスホテルとか..」

『下野さん..あの、この辺ホテルとか...無いんです』

下野「..えっ?まじ?」

『すいません、田舎で..』

この事実が、2人にとって大切な1日を生み出す事になるなんて..誰も考えてなかった。

36→←34



目次へ作品を作る感想を書く
他の作品を探す

おもしろ度を投票
( ← 頑張って!面白い!→ )

点数: 9.8/10 (30 票)

この小説をお気に入り追加 (しおり) 登録すれば後で更新された順に見れます
41人がお気に入り
設定タグ:下野紘 , 男性声優 , 恋愛   
作品ジャンル:恋愛
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告

感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)

ニックネーム: 感想:  ログイン

Shima(プロフ) - すみかさん» コメントありがとうございます!楽しんでいただけて良かったです(^ ^) (2016年8月23日 16時) (レス) id: da5ff44bdc (このIDを非表示/違反報告)
すみか - とてもいい作品でした。読んでいてたのしかったです! (2016年8月23日 16時) (レス) id: face6a46eb (このIDを非表示/違反報告)

作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ

作者名:Shima | 作成日時:2016年7月4日 16時

パスワード: (注) 他の人が作った物への荒らし行為は犯罪です。
発覚した場合、即刻通報します。