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『っ..ぅ....ん、』
目を覚ますともう朝になっていた。
私はお父さんのベッドに突っ伏して寝てしまっていた。
周りを見ると母の姿は無く、テーブルに1度家に帰って着替えを
取って来るとメモが残されていた。
梶さんは後ろのソファーで座ったまま眠っていた。
私の肩に掛けられていたブランケットは、梶さんが掛けてくれたのかな?
お父さんは相変わらず目を覚ましてはいなかった。
私はお父さんの手をそっと握った。反応は無いけど、温かい手だった。
『...おとう、ごめんね。ダメな娘で...ごめんね。
謝るし、何でもするけ.......早よ、目覚まして?ねぇ、、、おとう』
するとお父さんの手が、一瞬ピクッと動いた。
『っ!!おとう!分かる?!おとうっ!』
梶「Aちゃん?!」
私の声で、寝ていた梶さんも起きてしまったようだ。
『今っ、今手が少し動いて...』
そして、お父さんはゆっくりと目を開けてくれた。
梶「よかった...先生呼んでくるね』
梶さんは駆け足でナースステーションへ向かった。
『...私の事分かる?』
お父さんは繋いだ手を少し握り返した。
私は安心してそのまま座り込んでしまった。
『よかった...ほんとに....』
・
それから半日ほど経って、お父さんは会話出来るほどまでになった。
主治医の先生によると、後遺症も残っておらずリハビリをすれば
また普段の生活に戻れるそうだ。
今はお母さんや梶さんと楽しそうに談笑しているが、私はなかなか会話に
入っていくことが出来なかった。
bbb..bbb..
そこに1本の着信が入った。相手は下野さんだった。
私は静かに廊下へ出て、電話に出た。
『もしもし?』
下野「あ、Aちゃん。今、病院着いたんだけど..
何号室行けばいいかな?」
『あ、私入口まで行きますよ』
下野「そう?じゃあ、お願いします」
私は少し駆け足で受付や会計場所のある入口へ向かった。
すると下野さんの姿が見えた。
下野「Aちゃんっ」
『下野さん..本当に来て下さったんですね』
下野「追いかけるって言ったでしょ?...お父さんは?」
『今朝、意識が戻って後遺症も残らなかったみたいです』
下野「...」
『..下野さん?っ!!』
反応が無かった下野さんの顔を覗こうとした途端、私はすごい勢いで
下野さんの腕の中に埋まってしまった。
『しっ、しし下野さんんっ!?どうしたんでs、』
下野「..よかった」
『ぁっ、、』
下野「よかった、ほんとに」
下野さんは何度も何度も、よかったと呟いていた。
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Shima(プロフ) - すみかさん» コメントありがとうございます!楽しんでいただけて良かったです(^ ^) (2016年8月23日 16時) (レス) id: da5ff44bdc (このIDを非表示/違反報告)
すみか - とてもいい作品でした。読んでいてたのしかったです! (2016年8月23日 16時) (レス) id: face6a46eb (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:Shima | 作成日時:2016年7月4日 16時