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『あ、の。
私の顔、今、み、見ないで下さい』
自分でも分かるくらい、顔が熱くなっているのが分かった。
立花「...ッフ」
不敵な笑みを浮かべたかと思ったら、
立花さんは私との距離をグッと詰めてきた。
(???!!)
動揺を隠し切れない私の耳元で
立花さんが囁いた。
立花「何で見ちゃダメなんだ?」
ゾクッッ
鳥肌が立った。
自分の鼓膜が異常に震えているのが分かった。
プロの声優さんって、こういう...
『い、いや。それは...その』
立花「あれ?もしかして男に対して免疫ないの?」
『////』
もう恥ずかしくて声すら出なかった。
立花「クスッ、かわいいねぇ、A..ちゃん?」
『!!!』
周りの人に見られているんじゃないか、
このやりとりが聞こえているんじゃないか、
恥ずかしさと不安から涙が出そうだった。
と、その時。
《次は〜○○、○○です》
事務所の最寄駅のアナウンスが流れた。
プシューーー、ガタンッ
立花「...冗談だっての。バーーカ」
パッと私から身体を離して、そう一言言い放った立花さんは
一人電車を降りて行った。
放心状態になりかけていた私も、後を追うように
電車から降りた。
(からかわれたんだ...でもこんな事で動揺しちゃダメ。
しっかりしなくちゃ)
自分を奮い立たせて、階段へ向かっていると
福山「楓太君!」
その声に振りかえると福山さんがこちらに向かって
歩いてきていた。
『福山さん、おはようございます(^^)』
福山「もしかしてこの電車に乗ってた?」
『はい、この電車でした』
福山「な〜んだ、一緒の電車乗ってたんだね。
1人で来たの??」
『はい。あ、でも途中で立花さんと...』
その瞬間、さっきの出来事が頭にフラッシュバックした。
福山「...どうしたの?顔赤いよ??」
『ええ?!そ、そうですか??
何ともありませんよ(^^;)』
福山「そう??あ、立花君と会ったの??
その立花君はどこに...」
『先に降りて行かれましたよ』
福山「ええ?!行先は一緒なのに...
全く冷たいんだから(・へ・)」
『いえいえ。
僕、立花さんにはあまり好かれてないみたいなので(^^;)』
福山「...」
少し間、沈黙が流れた。
福山「よし!じゃあ、俺と行こーう!」
そう言うと、福山さんはスタスタと歩き始めた。
『ふ、福山さん?』
福山「何してんの?楓太君、遅刻するよ〜(^^)」
私は、また歩き始めた福山さんを駆け足で追った。
福山さんの背中がまるで「気にしないで」と
言っているように見えた。
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作者名:Shima | 作成日時:2016年4月13日 15時