第二話 ページ4
いつの間にか椅子に腰掛けて珈琲を飲んでいた太宰は、そんな私を見てかカップを持ったままケラケラ笑う。
「なんたって今日はAの初出勤だからね!先輩の私が色々教えてあげようじゃないか!それはもう手取り足取り…」
どこか嬉しそうな彼のドヤ顔を眺めながら、湯気のたつ珈琲に手をつける。喉を通り抜ける苦味に脳が、体が正常に働き出す。
彼の話で聞いた個性的な社員に会えるのが楽しみで、せっせと準備を始める。そういえば自分と同い年の男の子が最近入ったと、太宰は言っていたなぁ。
うふふ、と自然に笑いが溢れる。
ガチャッと勢いよく扉を開くと、目に飛び込んできた雲一つない眩しい青空に目を細める。
『晴れ舞台にはうってつけの死にたくなるほどの良い天気ねぇ。』
「私みたいな事言わないでくれるかい…。」
後からのそりと出てきた太宰も、同じように空を見、手を翳し、目を細める。
『太宰。』
「なぁに?」
素直に振り返る太宰に近付いて、わしゃわしゃと無造作に黒い蓬髪を撫で回す。太宰は綺麗な目を大きく見開いてから、撫で回していた手に自分の手を添えてふはっと砕けた笑顔を見せる。
ふわりと、微かに花の香りがする。この匂いが好きだ。
『今日も可愛い顔してるねぇ』
「かっこいいって言ってくれる?」
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作者名:玉兎 | 作成日時:2021年5月10日 4時