炎天下の藤袴＿ ページ1
… 。
暑い 。
「 … あっついんだけどぉ？！ 」
炎天下のバンカラ街。
そんな空の下を歩く少女は、背中に大きなバックを背負っている。
そう。4Kスコープだ。
その少女は、目の前のドアの中に足を踏み入れてすぐにロッカーに向かう。
ケースから取り出して4Kスコープのみを手に取った後に、ケースを少し乱雑に押し込みロッカーを閉じる。
「 バンカラ … それか ナワバリか … 」
ぎゅっと帽子を被り直し、いつものポジションでエイム慣らしを始める。
それが終わって直ぐにポータルに入り込みマッチングを始めた。
普通の人ならマッチング開始後もエイム慣らしを続けるかもしれない。だが彼女はただでさえ重い武器を持ち続けるのは嫌いなので、椅子に座りナマコフォンを手に暇を潰すのであった。
＿＿＿＿＿＿＿＿ 。
試合は終わり間際。ルールはガチエリア。読み合いの激しいルールだ。
「 … 右2枚 … 人数不利 … エリア中立 … 」
ワタシは確認するかのように試合に入ってきた情報を口にする。
リッターは後方支援武器だ。一番情報が入ってくる故に自分の行動で勝敗が決まることもある。
だからこそ行動は慎重に取る。
「 あ 。 あそこ対面してる 。 抜いてあげたらいいかな … 。 でもエリア塗り切った方が … その前にエリア周りの敵は … キルした方が … 」
視界に入りすぎる情報がワタシを焦らせる。
カウントはワタシの方のチームが負けている。
このままエリアを取れば試合は延長へと持ち込めるのだが、何せ人数不利なのだ。焦ってエリアを取りに行けば近距離戦の弱いワタシの武器じゃ負けてしまう。
一刻、一刻と迫る試合終了の合図を耳に、
ワタシは何も行動を取ることができなかった。
．
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作者名：かりおき。 | 作成日時：2023年8月27日 0時
