サンドバッグを好敵手と読むタイプ ページ14
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「私の授業が気に入らないなら今後出席してくれなくて構いませんケド!?ねえ、何とか言いなさいよ!!」
あ、丁度十分経った。しかもその台詞も、十回目。一分に一度同じことを言うことしか出来ないだなんて、最早説教に慣れていないとかそういう次元ではない。
恐らく、憂さ晴らしだ。タイミング良く転がっていたサンドバッグに、少ない引き出しで覚えたての技を使いたくなっているだけなのだろう。叱っている自分が好きで、叱っている自分を周りに見て欲しくて、ただその一心でアピールとマウンティングを繰り返す言葉を知らない野生動物と同じ。
自分が間違っているとは絶対に認めたくなんてないから、こちらが折れるまで続く。否、自分が満足するまで続く。
──『お願いだから私の邪魔をしないで!!私の人生に、介入してこないで!!』
ガシャンと落ちた花瓶が、腐敗した床に傷を付ける。とっくのとうに枯れ果てていたアネモネの花弁が改めて散り、勢いよく飛んできたガラスの破片のおかげで、頬に血が滲んだ。
──『アンタが生まれてきてから何もかも失った！自由も時間も、何もかもよ!!』
緩やかに起こっていた雪崩は、ついに糸が途切れたようにして崩壊を確信させてくる。
どの世界も、生きていくには食うか食われるかだ。私は今まさに搾取される側の立ち位置に押し込まれ、ドラマのヒロインならそろそろ生まれてきた環境を呪う場面かな。
「あの、」
「ハイ!?もっとハキハキ喋ってもらえる!?」
「先生は、もう少し周りを見た方が良いですよ」
「ハァッ!?」
苛立ちを通り越して呆れているので別に怒ってなどいなかったけれど、身勝手な彼女の思い通りになるのも癪なので口にした。勢いに押し負けて関わらないようにしていた他の教師は、まるでさも機会を伺っていたかのように割って入る。
「まあまあ先生、それくらいに……」
「これはアタシとAさんの問題なので!!」
「スイマセン……」
……いやいや、弱ッ。
お天道様も心做しか、沈みたがっているように見えた。
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こころ(プロフ) - 言葉遣いや、主人公ちゃんの気持ちの表現の仕方がすごい好きで、読んでいて面白いです。ゆっくりで良いので更新待ってます！ (2020年9月30日 20時) (
レス) id: efbab0acfd (このIDを非表示/違反報告)
小笠原＠銀トッキー - この主人公のノリ、好きです!更新頑張ってください (2020年5月27日 12時) (レス) id: d7fcd729d7 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：堕天使
| 作成日時：2019年9月20日 20時
