まさかの ページ42
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「依頼?オイオイ、それのどこが朗報だってんだ?」
「朗報でしょう!だって万事屋さんは万事屋なのにお金も仕事もないのですから」
最後まで煽りを忘れないそいつは、にんまりと笑って「兎にも角にも!」なんて乱暴に話を切り替えた。神様が何かを訴えるようにして吹く強い風も治まりを覚え始め、あんなにも強気だった雨すらも不自然に遠慮をしたりなんかして。それら全てがそいつの言動を際立たせるための演出なのかも知れない、とまで感じてしまう。
「受けてください、ね!」
「さては命令を下した親父を殺せとかじゃねェだろーな」
「そんか物騒なこと、お願いしませんよ!」
「じゃあ何なんだよ!その、依頼ってやつは!」
「言ってみろ、聞いてから判断してやる」そう勢い任せに言って造りがしっかりした壁にもたれかかってみれば、ほんの数秒前のテンションをいつの間にか宇宙の彼方に飛ばして、恥ずかしそうに俯いた。そのまま何かを聞こえない声でモゾモゾと話しているので、耳を澄ましてはみるが一切聞こえず。
思わず「ンだよ、ハッキリ喋れや」と悪態ついた。強引にでもあのテンションを手繰り寄せて喧しく会話をしてくれた方が、どちらかといえば好都合のような気がする。身体も段々と冷えてきたし、どうせなら会場に戻って飯を食べたい。そんなことを考えながら、未だに顔を下に向けているそいつを見つめた。
「────……また、会ってください」
「……、」
驚くことに俺の口からは、何の言葉も生まれなかった。その代わり大きく目を見開いてしまうなどの、顔面に関する動揺はうるさいくらいに現れたけれど、仕方ないという単語のみを使用して全力でフォローしたいに決まっている。
「それが、依頼?」
「……はい」
「また会う、ってのが?」
「………………はい。な、何か可笑しいことでも言いましたか、」
「それなりに」
「それなりに!?」
脳内の整理整頓を速やかに終えた俺は、暫くして笑いが込み上げてきてしまい、プッ、と分かりやすく吹き出した。その反応を見て眉間に皺を寄せたガキは、不満を丸出しにして「だって!」と顔を真っ赤にして頬を膨らませ、不貞腐れる。それすらも、可笑しくてたまらなかった。
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堕天使(プロフ) - 瑠々さん» 返信遅れました瑠々さーーん!いつもありがとうございますほんとにすきです。そう言って頂けて嬉しい限りですが全然、私なんてまだまだ全然です。これからも精進していきたいですよろしくお願いします!! (2019年5月25日 22時) (レス) id: 725743dc16 (このIDを非表示/違反報告)
瑠々 - 面白かったです。とても。どう頑張っても、堕天使さんの文章には追いつけませんね。 (2019年5月18日 6時) (レス) id: ff21270137 (このIDを非表示/違反報告)
堕天使(プロフ) - 柚木さん» 柚木さん!!コメントありがとうございます!!もう、ほんとに嬉しい限りで嬉しいがすぎて令和早々死にかけておりますが、柚木さんのために生きて更新頑張ります!!!!(;;)こちらこそ平成は素敵なものになりました、ありがたいです、私もずっと愛しております!! (2019年5月8日 13時) (レス) id: 725743dc16 (このIDを非表示/違反報告)
柚木(プロフ) - 堕天使さあああん!!!本当に大好きです!!なんでこんなに面白い作品を作ってくれるんですかァァ!!平成ではありがとうございました!!令和も負担がかからない位で活動を頑張ってください!!大好きです!!愛してます!! (2019年4月30日 22時) (レス) id: fe2805c04d (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:堕天使 | 作成日時:2019年4月11日 20時