【銀魂】貴方を想わせてください【お祝い短編集】

（６） ページ39

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重なった声にはにかみながら、隠し切れない少女漫画感のあるぎこちない羞恥心から目を背け、自分の前世が膝小僧だったことへの驚きに感情をシフトした。同じ場所を指差して目を合わせた瞬間は、アニメの世界だったら胸が高鳴ったかも、知れないとか思いつつ。


片や二次元のキャラクター、片や日本の妖怪。
こんな二人が現世で神になり、結婚する。
どんな壮大なストーリーよりも色濃く胸焼けしそうな設定に、戸惑いの四文字が耐性と共に静かになりつつあった。どういうこっちゃ。





「膝小僧だから、ひざの神なんですかね」

「ということは私は天津飯だったから、天津飯の神ってことですか」

「来世が怖いですね」

「ですね」





弱まる笑顔に含みを持たせて、同じ境遇の人種と出会えて良かったと心から思う。もしかしたらこの出会いは、とてつもなく運命的なのではなかろうか。そんな馬鹿げた考えすら、ちらほらと生まれ始めている。





「何かよく分かんないですけど、アナタとならやれる気がします」





とんでもなく甘い台詞を残した天津飯の神だが、打ちたくなる程の暴論ではなくてどこか頷いている自分も居た。「私もです」なんて声を出す勇気は無かったものの、この表情で読み取って欲しいな、と。サングラスもマスクも装着していない訳だし。





「もしも夢なら、良い思い出ですし」

「それはそうかも」





照れ臭そうに言葉を続けた相手は、頬をポリポリとかきながら「こんな夢だとしたらちょっと精神不安定ですけどね」と早口で数秒前を無かったことにしようとしているよう。





「来世でも、仲良くしましょう」

「…………はい。でもまずは、今ですよ」

「たしかに」



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