【銀魂】電波を飛ばさずWi-Fiを飛ばせ【坂田銀時】

４８．Wi-Fiを飛ばせ ページ48

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二日酔いというのは、いつだって辛いものだ。
たとえ自ら酔う事を望んで酒を飲んだとしても、誰かに無理矢理飲まされたのだとしても、辛い。つまり、前日の状況は一切関係無い。二日目はただただ気持ちが悪くて、何故あんなに飲んだのかと後悔する。

神楽も新八も居らず、朝になっても昼になっても来る様子が無い。別に来いと行っている訳でも無いので特に気にはならないが。寧ろ、静かで良い。
うるさいと頭に響いて仕方ないのだ。それよりは断然マシだ。


チャイムの音でさえ無駄にグォングォンと残るし、腹が立ってくる。新聞なら取らねェっつってんだろ、起き上がって言いに行くのも面倒なんだよ、金無ェんだよ、バカヤロー。

ソファからは一歩も動かずに「はぁい！！」と怒りを前面に出して返事をする。
すると「染井くんの声だわ！！」と外で女が言った。


･･････染井くん。その単語は今の俺が最も聞きたくない単語の一つだ。そしてあの声。ふざけたつもりが一切無いような感情の無いあの声。
それは俺が今一番受け入れられない声だ。



「何でアイツが此処に居んだよッ！！」



先程まで一切動く気配が無かった身体がスムーズに動いた。窓をガラリと開けて、飛び降りる事にする。ここから走って逃げれば絶対に分からない。

急いで、でも音を立てないようにそーっと、窓の縁に足を乗せると「此処が今の染井くんのアジトね！！」とすぐ後ろに女は、居た。


見つかってしまえばもう音など気にするか。
逃げるように飛び降りて、着地に成功。多少足に違和感を感じたが、あの女と関わるくらいなら違和感なんて知ったこっちゃない。
今出せる最大限の力で逃げる。二日酔いなんて関係無い。



「何で逃げるのよ染井くん！」

「ぐォオオ！！」



そうだった、コイツは足が速いんだった。
すぐ横を俺と同じスピードで走り「今日ね、ゴリラ伯爵と」と普通に日常会話を始めている。俺が何故叫んだのかも知らずに、コイツにとっての日常会話を始めているのだ。



「俺は染井じゃねェっつってんだろーがァアア！！人違い！！今世紀最大の人違い！！良くねェよ！！染井が可哀想だろ！！」

「君を見つけられた事は今世紀最大の発見だと母星の皆が喜ぶ声も届いているわ。私も喜びの電波を飛ばしてる」

「それ何の役にも立たねェんだよ！ンなモン飛ばさねェでWi-Fiを飛ばせ！！」

「私は、電波飛ばすだけではなく受信もしてる。寧ろ主に受信を･･････」
「知らねェよ！！」



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