40.爆発寸前 ページ40
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☆ 山崎side ☆
「ちょっとォ!!どうするんですか、アンタのせいで桂を見失っちゃったよ!!」
「人のせいにするんじゃないわよ。アンタが目を離すから悪いんでしょう?しょうがないから、その桂とか言う人間の特徴を教えてくれれば、あんぱんも返してあげるし、尾行にも協力してあげるわよ」
「もうあんぱんも協力も要らないから!!本当に放っといてください!!」
「そんなんだからいつまで経っても楢林なのよ。林田になりたくはないの?」
「違いが全く感じられないんですけど!?」
とんでもない人に絡まれてしまった。山崎退、一生の不覚。
この際あんぱんも桂もどうでもいい。追いかける気力すら残っていない。爆発寸前の怒りをため息と共に吐き出して、説教覚悟で屯所へ戻る事を決意する。
この女の子に絡まれ続けてツッコミをひたすら入れるくらいならば、土方さんの説教を聞いていた方が何万倍もマシだと思う。殴られようが蹴られようが、今なら許せるような気がするし、感謝の気持ちを込めてマヨネーズでも買って行こうか。
先程まで馬鹿ばかりと言っていた真選組の連中が、今は恋しくなっている。だからと言って馬鹿ばかりと一度でも思ってしまった事は、一生口には出さないけれど。
「楢林、一つ良いかしら」
「・・・・・・まだ何か」
「その馬鹿ばかりというのに、私は入っているの?」
「えっ!?」
両手に二つのあんぱんを持ち、鼻の頭に餡子を付けている彼女は、俺の脳内を見透かしたのかそんな事を言った。「何でそれを」と恐る恐る尋ねれば「前に言わなかった?」と本日三度目のドヤ顔を見せて、残り一口のあんぱんを口に放り投げる。
「私の脳には常に色々な情報が届いているって。君の思っている事や恥ずかしい事なんてすぐに分かってしまうのよ」
「なのに名前は間違えるんですね」
「間違えてないわよ、君は楢林」
「怖い怖い、この人めちゃくちゃ怖い!!」
もしかしたら俺の本当の名前は山崎なんかではなく、楢林なのか。背中が凍りつくように冷えて寒い。鳥肌が立った腕を擦りながら「お、俺は山崎退だから!!」と胸を張った。
洗脳されるな、騙されるな、俺。
大丈夫、俺は山崎だ。三十二年間山崎としてきちんと生きてきた。寸分の狂いも無く山崎退である。
「前世も来世も、全て見えてるわ。何なら全てを洗い浚い話してあげましょうか?」
「け、結構です!」
「なら、君には面白い未来が待ってるとだけ言っておくわね」
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堕天使(プロフ) - 涼羅@今までありがとうございました。さん» ご指摘ありがとうございます!調べたところいくつかあるようですね!漢字は難しい……!カタカナとして直しておきます!!笑 (2017年10月12日 8時) (レス) id: 725743dc16 (このIDを非表示/違反報告)
堕天使(プロフ) - ナナさん» ありがとうございます!!時間がある時にでもまったり読んでやってください!笑 (2017年10月12日 8時) (レス) id: 725743dc16 (このIDを非表示/違反報告)
涼羅@今までありがとうございました。(プロフ) - 1話のこたつっていう字、違いますよ。炬燵ってなってますけど、火燵ですよ☆ (2017年10月11日 23時) (レス) id: 74cb15c92b (このIDを非表示/違反報告)
ナナ(プロフ) - いいですね新作!とても面白そう!読ませていただきます!!! (2017年10月11日 21時) (レス) id: 12c1829223 (このIDを非表示/違反報告)
堕天使(プロフ) - 乱スナイプさん» ありがとう!!2巻も3巻も近々出す予定なんで、是非見てね!!笑 超頑張る横浜ランドマークタワー!! (2017年10月11日 18時) (レス) id: 725743dc16 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:堕天使 | 作成日時:2017年10月11日 17時