★ ページ14
母ちゃんも。
それっきり何も言わず。
おいらの方向こうともしない。
もしかして。
母ちゃんも泣いてんの...？
その瞬間。
ホントにあんだな。
走馬灯のように。
小っちぇ頃からの
母ちゃんとの、家族との思い出が
洪水みたいに頭の中に
浮かんでは流れ始めてきた。
小さい時は俺、
ケガばっかしてたから
大変だったろうな。
姉ちゃんとも
喧嘩ばっかししてたし。
風邪ひいて熱にうなされて。
目覚ました時にはいつも
俺の側にいてくれたよね。
洋楽大好きで。
母ちゃんのおかげで
おいらもいろんな人や曲知れて。
家族でバーベキューや釣り行く前日は。
一緒に準備すんの大好きだった。
ジャニーズ入る
きっかけも母ちゃんで。
あぁ、でも。高校中退した時は。
何も言われなかったけど。
やっぱ心配してたんだろうなあ。
思えばいつだって。
おいらの一番のファンで
いてくれた母ちゃん。
この仕事始めてから。
どんなに帰りが遅くなっても
起きて待っててくれたよね。
自分だって朝早くから
仕事のくせに。
だから。辛い時も頑張れた。
母ちゃんが。家族の皆が
何よりも応援してくれたから。
くじけそうなときは
いつだってそれ思い出して。
ここまで来れたんだって思う。
そうしてその中に。
明日からはおいらの奥さんも
入るんだよな。
今にもこぼれ落ちてきそうな涙、
グッとこらえたその時。
スクッと立ち上がった母ちゃん。
それにつられて。
反射的に俺の口から
飛び出した言葉。
「っ！母ちゃ...っ....ありが...」
きっと。母ちゃんの耳には。
小さすぎて届いてないかもしんない。
おまけに。”今まで”が。
抜けちまった...(＞＜)
でももう声でねぇの。
声になんねぇの。
伝えたい、肝心な思いを
口にしようとすると
もう涙まで止まらなくなって
しまいそうで。
...あー...情けねぇな...ぁ...
....でも。
聞こえたの？
一瞬動きを止め。
振り返りも返事もしねぇけど。
おいらの言葉にほんの小さく
うなづいたように見えた
母ちゃんの後姿。
そうして。
「おやすみ」とだけ
優しく口にして。
母ちゃんは和室を出ていった。
その背中は。
やっぱりすごく
小さく見えたけど。
昔とちっとも変らずに。
あったかく感じたんだ。
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 421人がお気に入り
お気に入り作者に追加
この作品を見ている人にオススメ
この作品を含むプレイリスト 
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
かこ(プロフ) - kazuさん» こちらこそ読んでくださりありがとうございます(*^^*)いつかは...でも今はまだ妄想上であってほしいですよね(^.^)今はまだ私たちがヒロインでいっぱい夢みちゃいましょう♪嬉しいお言葉本当にありがとうでした〜(///∇///) (2016年12月4日 21時) (
レス) id: dcc5e96cf5 (このIDを非表示/違反報告)
kazu(プロフ) - かこさん素敵なショートストーリーありがとうございます。すっごく胸がキュンキュンしました。今の彼等にこのお話しが当てはまる日がいつか来るのでしょうね。その日まで自分が主人公になって5人との結婚を夢みたいなと思います。ありがとうございました。 (2016年12月4日 21時) (レス) id: 3d79f0a9bf (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：かこ
| 作成日時：2016年12月4日 11時
