<<読者様3000人記念>> Blue 【Jun Matsumoto】 第１章

21. 必然 ＜J side＞ ページ21

３回偶然が続いたら。

それは”必然”ということに
なるんだろうか？

”運命”と名をつけて
呼んでもいいものになるんだろうか？




それは突然ふってわいたように
できた半日のオフ。


そんな事を考えながら
またK市へと走らせていた愛車。

窓から見える風景も3回目となると
なんともなじみのあるものに
思えるから不思議だな(笑)



あの再会から１週間。

なんだかふとした瞬間に
何度も彼女のこと思い出していた。

それは恋愛感情なんかじゃ
決してなくて。

でも無性に気になって。

...ちゃんと会って
話をしてみたくなって。



あんな手紙くれるってことは
まぎれもなく俺のファンなはずで。

なのに実際に俺を目の前にした彼女は
”会いたくて、嬉しくてたまらない”って
顔じゃ全然なくて。

むしろ今にも泣き出して
しまうんじゃないかってくらい、
寂しそうな瞳で微笑んで。

俺に背を向けて走り去ってしまった。



どうして？ ファンなんだろ？
もっとこう、”キャー”とか”ワー”とか、
そんなよくある普通の反応が
返ってくるもんだとばかり
思っていたのに。

妙なその態度が気になって。
気になって。仕方なくて。


そうしたら何かに背中押されるように。
気がついたらキーを取り出して
ハンドルを握っていた。



何だろ。不思議な確信。

こんな天気のいい平日の午後。

あの公園に行ったら、
またあの２人に会えるような気がして。

まっすぐに、迷いもせずに
その場所へ向かっていた。

あの日の真っ青な空と、
彼女のスカートと思い浮かべながら。



こういうときの俺の予感、
８０％は当たるんだ。





...ビンゴッ！！

公園にはあの日と同じように
ジャングルジムで遊んでいるあの娘と、
下からそれを見守っている彼女の姿。

他には誰もいない。

...今日は寝てないんだな(笑)




車を端に寄せて停め、
ダッシュボードから
あのハンカチを取り出し、
車を降りる。

柵をまたぎ、２人に向かって
足を進めていく。


俺に背を向けて立っている彼女は
まだ全然気がついていない。

でも次の瞬間、俺を見つけて
かわいらしい声で叫んだあの娘。



「...あっ！マツジュン！」



その声にビクッとしてから、
ゆっくりとこちらを向いた彼女。

その顔はこないだのともまた違って。
息すんのも忘れてんじゃねーかってくらい。




人間があんなに驚いた顔
できるんだって俺、初めて見た...(笑)

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