箒星 【Sho Sakurai】 第１章

42. 引かない二人 ページ42

気がつくと。
冷蔵庫からビールを出して。
飲み始めている櫻井さん。

あ。私の分もいつのまにか
目の前に置かれてる。

もらっちゃおうかな。




「あ、櫻井さ」




言いかけたら。
とたん苦笑する
櫻井さんにさえぎられる。



「あーっ それっ(苦笑)」

「え？」

「なんかさ。
北田さんにそう呼ばれると
　 こそばゆいっつーか。
すげぇ違和感(笑)。
　 言いてぇことズバズバ
言ってんだからさ、
いまさらそこ丁寧に
なんなくていいし。
　 もう、”翔”でいいし(笑)」





...なっ、さっきまで
泣きそうだったカラスが何言っ...




思わずビール缶の
プルトップを勢いよく開け。
一口グッと喉に流し込んでから
負けじと反撃に転じる。



「わっ、私だって！
ネコかぶる必要ない人に
　 ”北田さん”なんて呼ばれるの
気持ち悪いしっ」

「は、はぁーっ？！
...わかった(笑)
じゃ...A。ちゃん...？
...うわぁっ★
これもこそばいーなっ(＞＜)」

「しっ、失礼ねーっ(怒)
　 私の方こそかゆいってのっ(怒)
　 別に呼び捨てでいいしっ」



私がそう返すと。
とたん少し赤くなって
動揺し始めた櫻井さん。



「えっ、いやっ 無理ムリっ★
　すぐには俺、そういうの
無理だってっ！」

「...何よ､何、動揺してんのよっ
たかが呼び名でしょ？！」

「そ、そうだけど。急にはさ(＞＜)」

「男なら覚悟決めなさいよっ。
　 んなんだから彼女に逃げられんのよっ」

「(怒)あっ 今それ持ち出すか、
普通っ？！
そっちこそそんな気強ぇーから
彼氏できねぇんだよっ」

「私は吟味に吟味を重ねてるのっ！
変な男に寄り道してる時間ないしっ」

「かーっ(怒)ホント減らず口っ！
　 かわいくねぇーのっ」

「そっちこそ！性格悪いアイドルっ！！」




ちょっぴり入った
アルコールのせい？


もうどっちも引かずに。
にらみ合う私達。




...何なのよっ★
なんなのっ？！
サクライショウっ！

ホント最悪っ。

ホントになんて...なんて...









＜＜ ぷっ(爆) ＞＞






次の瞬間。

２人してほとんど同時にふきだして。
大笑いし始めてしまった私達。




ポンポン言い合ってるうちに。

なんだかそんな自分が妙に新鮮で。
急に滑稽に思えてきて。

思わずふき出してしまった...


多分。櫻井さんも同じ事
思ったんだよね...？

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