箒星 【Sho Sakurai】 第１章

39. 悪友 ＜S side＞ ページ39

「お湯沸かして」

「了解」

「コンロの準備。お皿並べて....
　 あーっ！テーブルの上拭いてからっ」

「わかってるって...(＞＜)」



ここ俺んちだよな？
自分ちのはずなのに。
家に足踏み入れた瞬間、
占拠され。
次々に指図のとぶキッチン。


こんなはずじゃなかったのに。
やっぱ俺、使われてる...(＞＜)




”意外ときれいだね”
なんてつぶやきながら。
材料を切っていた北田さん。


...よかった。
キッチン、あんま
使ってなくて(苦笑)。




「うっめぇっ♪」

「....よかった」


俺があげた声に。ホッとした表情で
自分も箸を進める北田さん。
そのしとやかな食事姿、
さっきまでの彼女とは大違いだな(苦笑)




でも。そんな経緯
どうでもよくなるくらい
鍋はうまくて。
俺の好みにぴったりの味で。



ふと。湯気の向こうの
北田さんに目をやる。




本性知った時には。
なんて奴、とんでもねぇ人って
思ったけど。

いつのまにか。
こうして同じ鍋囲んで。

こないだよりも
もっと柔らかい空気の中
一緒に飯なんて食ってて。



この仕事始めてからは。
同じ世界や昔からの仲間以外で
”女友達”なんて作ろうとも
思わなかったし。
当然できねぇままきたけど。


北田さんを
カテゴライズするとすれば。
きっとそう言えるんだろうな。



....今までに俺の周りには
いなかったタイプだけど(苦笑)。

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