箒星 【Sho Sakurai】 第１章

37. 気まぐれな神様 ＜S side＞ ページ37

...5月だってのに。
今夜は冷えんなぁ...(＞＜)





予定より早く上がった仕事。

寒みぃし。なんとなく
家に帰ってのんびりしてぇし。

スーパーでなんか買って
鍋もどきでもすっか。
惣菜も飽きちゃったしな...



キャップ目深に
かぶりなおして入った
マンション近くのスーパー。

２０時。さすがに買い物してる人は
ほとんどいなくて閑散としてる。





....だよな。

なんか気が大きくなって。
カートに乗っけたカゴに。
軽快に目に付いた食べたいもん、

ポンポン入れていく。



しらたきに豆腐。白菜、だしの瓶に
鶏肉は.....と。あった、あった！
最後の１パックじゃん。ラッキー☆



手を伸ばして。
パックに指先が触れたその瞬間。


左横からサッとそのパックを。
俺より先に取り上げた手。





「あっ」

「え？！」





あわててパックが
消えていった方向を見たら。
目の前には...ウソだろ★


同じように目まんまるにして。
びっくりした顔で俺を見つめる
北田さんがいた。









あの、ごちそうになった夜から
気がつくと１週間。

家も近けぇし。
また偶然バッタリ、なんてことも
あんのかなって思ってたけど。

そんなドラマみてぇこと
早々起こることなく。

日々の忙しさにまぎれて。
北田さんのこと思い出す事も
少なくなってたこの頃。



そういう時に限ってバッタリ
出くわすもんなんだな(苦笑)。

神様って。ホント、
気まぐれなのかもしんねぇや。





北田さんと目が合って。
思わず出した手
ひっこめてしまった。


その瞬間。
この勝負、俺の負け(＞＜)。



俺の動きを見て。
クスッと苦笑してから
北田さんはいたって
落ち着いて口を開いた。



「こんばんは」

「あ....ちはっ。
　 こ、こないだはごちそうさま(^^)
合コン帰り？(笑)」



俺の言葉に。とたんムキになって
言い返してくる北田さん。



「なっ★ち、違いますーっ!
　 そんな、いつも合コン
ばっかじゃないですっ！
今日は残業っ(怒)
そ、そっちこそっ！
こんなところで
何やってるんですか？！」



ははっ。面白れぇな(^^)
ふぅん、違うんだ。



「あー。ん、珍しくなんか
作ろっかなと思ったんだけど。
....いいや。やっぱコンビニで
なんか適当に買おっかな。」



鶏肉ねぇんじゃ、
なんか鍋っつーテンション下がったしな。
今回は肉は北田さんに譲るとしよう。

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