箒星 【Sho Sakurai】 第１章

21. 物思い ページ21

平日の羽田空港。

春休みも終わって。
GWまではまだあるから。
割と閑散としている時期の
今日この頃。

もう少しで今日の勤務が終わる。
同僚の智子が小さな声で聞いてくる。



「A、今日ご飯一緒にどう？」

「ごめんっ、今日エステ
予約しちゃってて★
　 また今度誘って(^^)」

「オッケー。
あ、ちょっとここお願いね」


そのまま智子は
奥のロッカールームへと
行ってしまった。


１か月前から予約していた
人気エステ店。

ここからお店まで
予約時間ぎりぎりだから
私も急いで支度して
向かわなくちゃ。


ふっと顔を上げたその瞬間。
目の前をCA達の一行が
通り過ぎていく。

キャリーケースを引きながら。
優雅に歩いていくその姿を。
思わず羨望のまなざしで
見つめてしまう。



....私だって。
あの時そう望めば
あの中にいたはずだったのに....




そこまで思って。ハッと我に返る。



....ううん。それはもう
考えまいって決めたこと。

事情はどうであれ。
今いる場所を選んだのは
私なんだから。

だから。これからの人生は
絶対後悔したくない。

運命は自分の手で
切り開くだけだもの。







先週の弁護士合コンも不発。

あと半年で２６歳になってしまう。

”女の人生はクリスマスケーキと同じ”って。
誰が言ってたんだっけ？何かのドラマで？

売れるのは２５まで。
それ以降はどんどん値が
下がる一方だなんて。


皮肉だけど。
否定できないフレーズだって
聞いた時には妙にうなづけてしまった。

スタイルや容姿も。
たった一年で自分的には
なんら変わりないと自負してるけど。

数字の響きだけで
敬遠してくる男性たちもいるから。
やはりこの半年は気合い入れて
出逢いを求めていかなくちゃ。

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