箒星 【Sho Sakurai】 第１章

20. 淡い期待 ＜S side＞ ページ20

思わず一人苦笑したら。
側にいた松潤と相葉ちゃんが
怪訝そうな顔をしたのが目に入った。



「あ。お疲れっ。じゃ、お先っ」

「あ、あぁ。仕事、頑張って....」




＜偶然の再会＞、
ありえねぇだろう事だけど。

もしあったなら。
それは運命だと思っていいんだろうか？



もちろん。
変な下心なんてねぇよ、うん。

今だって。のぞみのことは
忘れたことねぇし。



ただ。気になってる。



もう少し話をしてみたい。
彼女という、人となりを
知ってみたいだけ。





....なぁんてな(苦笑)
さぁ、仕事、仕事っ。






そんな事を考えながら。
若干軽い足取りで楽屋を
後にしたもんだから。



「...翔くん、なんか変じゃね？！」

「....彼女に出てかれたのよっぽど
ショックだったのかなぁ....？？」



俺の背中を見つめながら。
相葉ちゃんと松潤がそんな会話を
していたなんて
ちっとも聞こえずに俺は。
移動車が待っている駐車場へと
向かっていた。









女見る目ある松潤なら。
この段階で見抜けたのかな？


人間観察が鋭いニノなら。
絶対見抜けたんだろうなぁ。




君の作り笑顔としぐさ。
そして本当の姿に。




恋愛ゴトにはてんで疎い俺は。


実は君が。
俺の想像と甘い期待を
はるかに越えた
手強い女性だったなんて。


まだ少しも気づいちゃ
いなかったんだ......

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