箒星 【Sho Sakurai】 第１章

12. 気になるひと ＜S side＞ ページ12

そう思いつつ。
一向にやまない質問に答えたり
さりげなくかわしたりしてたら。

向かいの一人の女性と目があった。



騒ぐ女性陣の輪にははいらず。
一人のんびりとワインを
飲んでいるその女性。

目があった瞬間。
俺の目を見つめたまま
優しい、まるで天使みたいな
笑顔を浮かべて。
またさっきと同じように
飲み食べ続け始めた。







.....なんだこれ。




視線が外れた後も。おかしなくらい
速くなってる胸の鼓動。

胸に浮かぶのはさっきの笑顔ばかり。





な.....なんか。
すげぇ気になるんですけど.....





予想外の反応とその行動に。
俺の方が拍子抜け。


大きな瞳。控え目で、女らしい印象。
よく見てると。食事の所作が美しい。
派手な化粧じゃねぇし。
服もよく似合ってて。かわいい。

しつこくせまってる加藤先輩のことも
失礼にならないよう上手くかわしてる。



何よりも。その優しそうでかわいい笑顔。

きっと心も清らかな感じする、うん。




”北田Aさん”か。

羽田勤務の地上職。２５歳。

素敵な人だな......








そうは思ったけど。

こういうの苦手な俺のことだもん、
全くといっていいほど
話しかけられなかった。

いつものパターンだけど。
話しかけるタイミング、
ことごとく逃しちまって。


まぁ別にいんだけどさ。
本気でどうこうなんて思ってねぇし。




でもなんか妙に意識しちまって。

彼女見るたびに
ドキドキしてる自分を感じちまって。




宴が終わるまで。
ずっと落ちつかねぇ、
変な気持ちだった。

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