やっぱりリア恋枠【まふまふ】

【番外編】ハニーレモンハニー ページ35

貴方 side






「 …ということで、成瀬が今更何と言おうと私は今日撮影に行く 」


nqrse「 しかも今日なのかよ 」





んー、と唸った後、観念したように成瀬が私の目を見た。





nqrse「 …まふくんには？」


「 言ってない 」


nqrse「 それが一番大問題なんだけど 」


「 なんで？」


nqrse「 逆だったらどうよ 」


「 ちょっと一回死んでくる 」


nqrse「 …うん、落ち着け、例え話だから。ナイフを下ろせ。てかそのケーキ用じゃあ大動脈綺麗に掻っ切れねえぞ 」







落ち着け、どーどー、と頭をポンポン。
ふっと息を吐いてもう一度椅子に座りなおす。







「 何で成瀬に話したか分かる？」


nqrse「 あ？…あー…」


「 分かる？」


nqrse「 いや、何で地球が青いのかレベルで分かんねえ 」


「 どういう意味よ 」


nqrse「 …まあ正直な話お前がまふくんじゃなくて俺に話したのってさ、怖かったんだろ？要は 」




成瀬の、その一言にドキリとする。
何でだろう。そんなこと言った覚えも顔に出した覚えもないのにどうして分かったんだろう。






nqrse「 …お前が決めたならもう反対はしねえよ。でも一人で抱え込むな。怖いなら怖いって言え。」



「 っ…だ、大丈夫…だって下着って言ってもデザイン可愛いし、水着みたいなものだ、しっ…」







手の震えとか、ついにこぼれた涙とか、もうどうだってよくって。ぐちゃぐちゃな心が背後から、大好きな人の匂いによって包まれた。







「 ど、して…」




nqrse「 だってお前、明らかに電話の様子おかしかったし。なんか隠してるなこりゃ、と思って待機してもらってたら、ビンゴ 」







ぎゅうっと、前に回された手を握ると、抱きしめられる力が強くなる。
体温と心臓の音が伝わって、くすぐったい。








まふ「 …どうして言ってくれないの、ばかA。下着のCMに出たいって言ったら軽蔑するとでも思ったの？」


「 …怖かったの。あなたに嫌われるのが、怖い。こんなの初めてでどうしたらいいか…」









確かなのは私が、彼に嫌われたくないと心から思っていること、CMに出たいって思ってること。

いつの間にか私は、こんなにワガママになっていた。









まふ「 …ばか。」







ばかだよ、Aは。そう呟いて、真冬くんが私の頰を両手で包んだ。






まふ「 どんなときも味方でいる。それが、俺の役目でしょ。」



その掌の温もりを、私は一生、忘れないと思った。

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