きみに本当のこと教えてあげるよ (ページ6)

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６「いつくしむ」ジェノページ6

僕が彼女に抱く感情は「愛情」でもあるが、それ以上のものも含まれていると思う。
まるで神様のように彼女がはく言葉は僕を導いてくれる。きっと他の人間からすれば何のことだが全く分からないのだろうけど、それでいい。
あくまでも彼女は僕のものだ。このまま一生誰も彼女本来の美しさに気がつかなくたって、僕がいつまでもいつまでもその美しさを独り占めして愛でるだけの話だ。

この先の未来、己の人生がどう転んでも別に気にしなかった。
親が言う通りしなさい、と言われたとて僕にはご立派な夢や願望は何もない。だからそのままレールに沿って生きてきた。「遊びより勉強」「女の子と付き合う前に学校の先生に評価されなさい」
何も感じなかった。だってあの時の僕は中身も何もない、張りぼてのようなものだったから。
けれど彼女と出会ったことで「ほんもの」になれた。
この先の人生、ずっと彼女と居たいと思った。

A。僕は君と出会って嫉妬と愛情をいっぺんに学んだよ。
今じゃ美しい君の周りを飛び回る蠅のような男たちが邪魔で仕方ない。
誰かをこんなにも愛おしいと思う瞬間が僕にも来るだなんて。それと同時に他の男がこんなにも鬱陶しく、腹立たしいものになるなんて思っても見なかった。

「いってぇっ・・・・」

「どう？ちょっとはわかった？」

肌寒い風が吹き抜ける体育館裏。無様でバカな虫けらが地面にうずくまっている。
当然の報いだ。Aにちょっかい出そうとなんてするから悪いんだ。
美しい彼女にこんなモノが近づいてはいけないのに。

「わかったって訊いてるんだけど」

「わかった。わかったって！」

ポケットから携帯を取り出しその虫けらがもがく姿をカメラにおさめる。後々何を言われても、これでどうにかすればいい話だ。
それに素行が悪い生徒より、今までこつこつ積み重ねてきた信頼の厚い僕の方を教師だって信じるだろう。

「２度と彼女に近づくな」

アイロンのかかった制服の下に隠された秘密が誰にもばれないように。