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「おぉ…流石、章ちゃん。」
綺麗に編み込まれて、
コテでゆるく巻かれた髪に暫く見惚れる
「ふふっ。俺の腕がええのは当然やけど、
Aの素材がええんやで。」
肩に手を置いて、私に微笑みかける。
「…ありがと。」
「ん。自信持って行き！
亮、来るかもしれんのやろ？」
「…うん、」
「大丈夫。めっさ綺麗やから。
この俺でも惚れそうや。」
少しギラッと男の顔を見せるから…驚く。
「ふふっ。いこ。」
「…あ、うん。」
グイッと腕を引っ張られる。
「イっ…！」
「あ…ごめん。」
「ううん。大丈夫…。」
「いこ。横山くん待ってるやろ？」
「、うん。」
掴まれるのが腕から手に変わって、
今度はキュっと優しく握られる。
なんか、今日の章ちゃん、変なの…。
．
「おー見違えたやん。」
「やだ、ヨコ、タバコ臭い。」
シッシッとすると、
イヤーな顔をして近づいて来る
「お前の元カレも、ヘビースモーカーやないか。」
肩を組んで顔を寄せて、
耳元でそう呟く。
「…うっざ。」
「女がそないなことゆーなや。」
ヘヘッと笑う顔が、
めちゃくちゃムカつく。
「女が、とか男が、とか言ってたらモテないよ？」
「……モテへんのか。」
それは困る。と笑って
結婚式の会場へと歩き始めるから、
章ちゃんに「またあとでね。」とだけ言って、
後ろからついて行く。
新しいヒールが慣れなくて、歩きにくい…。
無駄にフカフカした赤い絨毯の上を
おぼつかない足取りで
ヨコとやいやい言いながら歩く。
．
「なあ、お前さ…」
そう、ヨコが口を開くと同時に
「A…？」
背後から名前を呼ばれる。
．
たったそれだけなのに、
イヤになるほど思い出し続けた記憶が
彩りをもって一気にフラッシュバックする。
振り向かなくてもわかるほど、
彼の声を聞いて胸に刻みこんでいたことに
今になってやっと気づいた。
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作者名：Ma
| 作成日時：2017年12月12日 19時
