サディスト的恋愛方程式〔黄〕 (ページ46)

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ep.46 ページ46

「広い、ですね。」

「ほんまやなあ…美味そう」

「一個食べら～？」

「えっ！いいんですか？」

「いいんよいいんよ～」

山梨のとある桃農家の
サエキさんの桃園に視察に来た。

65歳のお婆さんであるサエキさんと
大倉先輩は、もう仲良しで

サエキさんは、せっせと木になってる
桃をふたつ切り落として

私と先輩にひとつずつ手渡してくれた

「綺麗なもも…」

「ほんやなあ。香りもちゃうなあ。」

いただきます。と言って
モモをひとくちかじる。

「うんまあ…」

「美味しいですね。」

「遠慮しんでたいへん食べろし」

嬉しそうに笑うサエキさんをみて
私も先輩も、自然と笑みがこぼれる

「息子が待っちょるけん、こっちんこうしぃ」

モモをひとつ食べ終えると、
サエキさんが大倉先輩の手を引いて
スタスタ歩いていくから、

私も置いてかれないよう
それについて行く

…

連れてかれたのは、
サエキさんの自宅で、

そこには優しそうに笑う
サエキさんの息子さんが待ち構えてくれてた。

私と先輩は名刺を息子さんに渡し、
サエキさんが引いてくれた座布団の上に腰を下ろした。