サディスト的恋愛方程式〔黄〕 (ページ3)

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ep.3 ページ3

「よし、行こか。」

「はい。」

「んー…でも、アレやな。」

ジロジロと私を見る先輩。
…は、ずかしいんですけど。

「服、買いに行こう、か。」

「え？あ、すいません…。」

会食には不向きな、ジーンズに、白いシャツを着た私。
なんで、こういう時のために
予備の服を置いておかなかったんだろう。

「いや、謝らんとって！
当日言った俺が悪いんやから。」

そう言ってオフィス前で
タクシーを拾う。

私が先に乗り込んで、
後から大倉先輩が乗り込む。

久しぶりに、
2人きりで、無駄にドキドキする。

まぁ、婚約者のいる人に
こんな気持ちがあっても、意味がないのに。

「久しぶりやなぁ。」

「え？」

「2人で、行動するん。
俺が教育係しとったぶりやろ？」

「…そうですね。」

同じこと、思ってた。

それだけで、嬉しいとか思ってしまう。

「ホンマ、仕事できるようになったよなあ
入社当時は、ドジばっかやったけど。」

「大倉先輩の教え方が良かったんじゃないですかね？笑」

「ふふっ。ホンマ、上手いなぁ。
教育係として、鼻が高いわ。笑」

何気なく。
何気なくだって分かるけど、
頭を優しく撫でられると、
顔が赤くなるのが分かる。

こればかりは、どうにもならない

…

「はい、行くよ？」

タクシーが止まり、
大倉先輩がお金を払った後、
そう言って手を差し伸べてくれる。

優しさは、時に残酷でもある。
そう思った。

「大丈夫ですよ。降りられますから。笑」

「そお？」

笑顔を作ってそう言う。
社会人になって、
作り笑顔が上手くなった。
自分でもそう思う。

「え、ここですか？高く、ないですか？」

「ん？大丈夫やろ。」

行くで。と、手首を引っ張られて、
ブランドのブティックに連れ込まれる。

持ち合わせ、そんなにないんだけど、
大丈夫かな…

カード、使える店だっけ、ココ…