サディスト的恋愛方程式〔黄〕 (ページ11)

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ep.11 ページ11

「来ないかと思ったわ。」

「そんなことしませんよ。」

あの時教えた連絡先に、
数日後、届いた約束のメール。

たったの1行、
今週の金曜20時、赤坂の○×ビルの5階

なんてそっけないメールなんだ。
と思いつつ、
錦戸さんらしいな。
とも思った。

「和食、好きなんですね。」

「おん。刺身はあんまり食えんけど。」

「え？笑
そうなんですか？」

「おん。モノによっちゃ、食べれるけどな。

それより、敬語やめえや。」

「いや、でも…」

「婚約するんやで？
可笑しいやろ。」

…まぁ、たしかに。
でも、急に錦戸さんに向かって
タメ語……ムリでしょ。

躊躇ってると、痺れを切らしたのか、

「はぁ…じゃあ、敬語でもええから
亮って呼べよ？」

「敬語で、亮って、可笑しくないですか？笑」

「…せやなあ。」

「亮、さん、でいいですか？」

「…なんか、ええな。それ採用。」

口を押えながら、ハニカム亮、さん。

こうやって改めてみると、
ホントカッコイイ。

私、この人と
ホントに婚約するの？

ホントに私で、良いわけ…？

…

頼んだ飲み物が届いて、

「じゃ、乾杯やな。」

「あ、はい。」

グラスを持ち上げて、
コツッと亮さんのグラスにあてる。

「婚約、オメデトウ。笑」

意地悪そうな顔をして、そう言う。

「他人事、みたいですね。笑」

「ぶっちゃけ、現実味、ないやん。」

「自分で、言っといて、ですか？笑」

「おん。笑」

ふふっと2人で
顔を見合わせて笑う。