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弐 変わった人 ページ3

その人は、煉獄 杏寿郎と名乗った。彼、煉獄さんの父は、鬼殺隊の柱で、わたしの父に鍔作りを依頼していた人なのだという。
煉獄さん曰く、わたしは目元が父に似ていたため、A Aだと気づいたらしい。娘としては、少し複雑だった。

「A少女。その手に持っているのは、鍔か?」

煉獄さんが指差すのは、わたしの作った鍔だ。こんな鉄の塊を、よく鍔だと気付いたな、とわたしは煉獄さんに感心させられた。

「ミモザの花か!美しい!」
「え……?」

信じられなかった。父も母も失敗作としてしか見てくれなかった鍔を、煉獄さんは褒めてくれた。そして、職人までの道のりは、まだまだ1000歩ほどあるが!と付け加えてくれた。
お世辞という言葉はない。けれど、だからこそ、先の発言を信頼できる。嘘などないのだと。
煉獄さんは、わたしの鍔を褒めてくれた。
美しいと言ってくれた。わたしが好きだからと彫った、ミモザの花を。

「わたしは、鍔職人になれると思いますか?」

気付いたときには、わたしはそんなことを口にしていた。なれるわけがないのに、ほんの少し褒められただけで、舞い上がっている自分がいた。

「それは君次第だ!君が胸を張れる道を辿れば、自然と結果もついてくる!」

前を向き、胸を張れと、真っ直ぐに見据える煉獄さんの目は、燦々と照りつける太陽のようだった。近づくだけで燃え尽きそうな、そんな人。

「俺が鬼殺隊となったとき、俺の刀の鍔を作ってくれないか?」
「え!?」

煉獄さんの申し出に、わたしは声をあげた。
父の言っていた通り、剣士にとって刀は命で、鍔は意思。刀は使い手の魂を示し、鍔は使い手の志を示すのだ。だから、刀鍛冶は鍔にも気を配る。刀が良くても、鍔が不出来では全てが台無しになるから。

「む、無理です!わたしにそんな重役……!」
「俺は君に作ってもらいたい!」

何というか、変わっている人だ。初めて会ったばかりのわたしに、ここまでするのかと。
この人は、わたしにはない、曲げられない信念を持っているらしい。それが羨ましい。
煉獄さんは何も言わず、わたしと視線を合わせて、わたしの返事を待っている。

「……承りました。わたくしA A、A家の名にかけて、精一杯努めさせていただきます」

まだ慣れない言葉遣いで、言葉は間違えても、出来る限りの敬意を示そうと、できるだけ、けれどやり過ぎないように、煉獄さんに頭を下げる。

参 兄のよう→←壱 豪快



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squid(プロフ) - 愛羅さん» 返信が遅れてすみません!感動系は少々苦手なのですが、そのように思っていただけたなら幸いです!完読ありがとうございます! (7月1日 6時) (レス) id: bf945fda6a (このIDを非表示/違反報告)
愛羅(プロフ) - 感動しました!涙が止まりません…( ; ; ) (7月1日 0時) (レス) id: 83407bc1eb (このIDを非表示/違反報告)
squid(プロフ) - ぶるこ。さん» コメントありがとうございます!素敵な夢だなんてとんでもないです。完読していただきありがとうございます。 (6月17日 7時) (レス) id: bf945fda6a (このIDを非表示/違反報告)
ぶるこ。 - 涙ぼろぼろです。素敵な夢をありがとうございます…。 (6月17日 2時) (レス) id: 48aba5c9ee (このIDを非表示/違反報告)
squid(プロフ) - キノさん» コメントありがとうございます!そう言っていただけて嬉しいです。 (6月14日 15時) (レス) id: bf945fda6a (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:squid | 作成日時:2019年5月11日 17時

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