親子はじめました

始まりの始まり ページ4

「はあ！？何を買ったって？！」


つんざくような声におもわず耳から携帯を離す


『だから。マンション』

「マンションてあんた！
結婚もせんとそんなん買うてどういうことなん！
引っ越したっていうから心配して連絡してみれば！
ちょっとお父さん！」


電話口で騒ぎ立てる母の気持ちも分かる。

25歳独身で収入も普通よりは上。
それでマンションを買ったなんて言ったら
母親はウンザリするに決まってる。
結婚なんてする気がないのがバレバレだ。

ベランダにでて行き交う車を眺める。
ああ、いい天気。

つい先日越して来たばかりのマンション
最上階とまではいかないけどそれなりに眺めはいい

見下ろした駐車場に仲よさ気に手を繋いで歩く親子と
引っ越し業者のトラックが入ってくるのが見えた。


『お母さん、また休みあれば帰るから。忙しいから切るよ』

「そう言って帰って来た試しないくせによお言うわ。
もういい加減お母さんのこと安心させて」

『あーもうわかったから』


玄関のほうからガチャガチャと音がして振り返る

え？なに不審者？！
ここオートロックだよね？
インターホン鳴ってないんだけど


『誰かきたから切るね』

「ちょっと！アンタ、」

『また電話する』


携帯を握り締めたまま玄関へ向かう
ガチャリ、と鍵が開く音。

は？なんで開くわけ？

110を押した画面の通話ボタンに手をかけて
開く扉をジッと見つめる


キィ


『……え』


「……は？」



「お前、俺ん家でなにしてんの？」


扉を開けたその人物は
いけ好かない会社の同僚ミン ユンギだった。

詐欺には気をつけろ→←俺という人間

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