親子はじめました

私の同居人 ページ6

『これ、読んでサインして』


部屋から出るとテレビを見ながら
ソファーに転がっているそいつに紙を突き出す
もう馴染んでるんだけどこの人。


「何それ。」

『契約書作った』

「なにお前暇なの？」

『同居契約書！
1、お互いのプライベートには干渉しない
2、掃除、洗濯は分担制
3、食事は各自
4、会社では必要以上に話しかけない
5、同居のことは口外しない…って聞いてんの？』

「あーその辺置いといて。後で読むわ」


絶対読む気ないでしょ
全然こっち見てないし


『ちょっとそれ私のマグカップなんだけど』

「なんだよ、ちょっと借りただけだろ」


ダメだ……
やっていける気がしない……


「A、これどうやって止めんの うるさい」


さっきからソファーの周りを掃除してるルンバを指差す


『…そんな親しげに呼び合う間柄でしたっけ？』

「家帰って来てまで堅苦しいの嫌だろ」

『絶対会社でそう呼ばないでよ』

「わかってるって」


わかってんの本当に？！


ピンポーン


「誰か来たぞ」


分かってるよ
隣に居るんだから聞こえてるよ


『寝てないで出たら？』

「お前ん家だろ」

『都合のいい使い方して！あんたの家でもあるでしょ！』

「おーこわ。はいはい出ますよ」


肩をすくめながら玄関に消えていく
やっぱムカつくな


「Aー」


中々戻って来ないなと思いながら
付いていたテレビ見てたら玄関から呼ばれる

なに、荷物かなんかかな。


「おいAって」

『もう聞こえてるって、なに…』


財布をもって玄関に向かうと
突っ立っているユンギの後ろに小さな影


『え、誰』


子供…だよね？
なんでこんな所に


『まさか……隠し子、とか…？』

「馬鹿、いねぇわ。」


だ、だよね！
よかったちょっと変な汗かいたじゃん


『じゃあ誰よ』

「知らね。お前の知り合いじゃねぇの」

『知らないよ、』


その子の前にかがんで顔を覗き込む。

かっ、可愛い。
クリクリと丸い目に長い睫毛。

ん？あれ、なんか見覚えが…あるような…


『お名前、言える？』

「…………………ぐく」

『え？』

「……………じょんぐく」

『ジョングクぅ？！』

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