恋人らしくない＊尾白猿夫 ページ21
忙しなく過ぎる学生生活の中で、唯一と言っても過言ではないような恋人とのゆったりとした時間。
Aはいつものきっちりとしたブレザーとは異なっているだぼっとしたパーカーを着て、テーブルの上にある雑誌をペラペラとめくっている。
大きめのサイズの服の袖からチラチラと覗く彼女の小さい指が動く度に、目の前の存在が愛らしくてなんだか幸せな気持ちになるから、こういった時間も悪くはないと思うのだがひとつ疑問に思うことがある。
なんだこの色気も何もないデートは。
交際して半年が経つ恋人のお家デートって普通もう少しいちゃいちゃするものではないのか。
今思えば俺たちは、くっつきながら一緒にテレビを見たり、キスをしたりだとか、恋人らしいことを一切したことがなかったのである。
悩み始めたら行動に移すのは早かった。
今座っているソファーからおもむろに立ち上がり、雑誌に集中していて俺の動きに気づいていない彼女の首に後ろから手を回す。
いわゆるあすなろ抱きというやつだ。
「何読んでるの？」
勇気を出して恋人らしいことをしてみたはいいけれど、これで引かれたりとか気持ち悪いとか言われたらどうしよう。
平然を装って口を動かすけれど、心の中には不安が募る。
今にも心臓の音が聞こえてしまいそうだ。
『んー？昨日発売されたやつ。かわいいの、いっぱい載ってるんだよ。』
そう言ってAはふにゃりと笑うと、俺に少し向けられていた視線をファッション雑誌の方に戻した。
(えっ、それだけ？)
可もなく不可もなく、いつもと何一つ変わらないような会話。
もしかして俺のこと異性として意識していないのだろうか。いやでもそれだったらあの時、俺の告白をOKしていないはずだろう。
もしかして表情が見えないからなんの変化もないように見えるだけで、本当は赤面とかしてたりしないかな。
なんて、Aが見ている雑誌の内容は眺めているだけで何一つ入っていない頭で考える。
いや、まだたった一言しかしゃべってないぞ俺と、少し冷静になってAに話しかける。
最近こんなの流行ってるんだ。とか、これAに似合いそうだね。とか、いろいろ話してもまだなんの変化がなくて、諦めかけていたその時。
『尾白くん声かっこいいんだから耳元でしゃべんないでよっ。』
顔を真っ赤にさせたAが耳を押さえながら口を開く。
俺の中で何かが切れるような音がした。
――――
次に続きます。
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きのこ - 心操君と真堂君が、、、、グハァ(血吐 (2018年10月12日 21時) (
レス) id: b000323d2b (このIDを非表示/違反報告)
カリン(プロフ) - Ψ藤｡さん» ありがとうございます！よろしくお願いします！ (2018年9月27日 22時) (レス) id: 5f6ae5c170 (このIDを非表示/違反報告)
ユリ(プロフ) - Ψ藤｡さん» リクエストありがとうございます!遅くなってしまうのですが書かせていただきますね！ (2018年9月27日 22時) (レス) id: e541ce1bc4 (このIDを非表示/違反報告)
ユリ(プロフ) - カリンさん» リクエストありがとうございます！遅くなると思いますが書かせていただきます！ (2018年9月27日 22時) (レス) id: e541ce1bc4 (このIDを非表示/違反報告)
Ψ藤｡(プロフ) - リクエストいいですか？尾白君と心操君に夢主が取り合いされるって感じでお願いします！激甘で！ (2018年9月25日 20時) (レス) id: da15a7215d (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：ユリ | 作成日時：2018年7月7日 17時
