それは、ひどく無垢な＊夜嵐イナサ ページ18
第一印象はただうるさいやつだなと、そういう感じ。
見た目だけは「元気で良い奴」だと偽っていても中身はきっと、もっとどろどろした汚い感情がいっぱい混ざっているのだろうなと、そんな印象。
どれだけ綺麗に見えても、純粋な白に見える人間なんていないだろうと、そう思っていた。
それなのに……………。
「Aさんっ！今日お昼一緒に食べませんかっ！？」
訳がわからない。
ずっと見ていれば良い子ぶってる奴なんてのはすぐにボロを出すのに、こいつだけはいつまでたっても汚い面が出てこない。
ヒーロー仮免許取得試験の時、轟とかいう人に見せた恨みがこもったあの目を見たときには、やはり彼もただ偽っているだけの存在にすぎないなと思ったものだが、最終的には轟焦凍に歩み寄ってしまった。
夜嵐が轟を嫌っていた理由を聞いたのだが、納得のできるものだった。
嫉妬とか、優越感とか、そういう意味のない汚いモノがなくて、見れば見るほど好感度が上がっちゃうような奴、それが今の夜嵐への印象。
今だってそうだ。
きっとお昼を一緒に食べる友人なんていくらでもいるのだろうに、こんな誰よりもひねくれているような性格最悪なやつに構ってる。ワケわかんない。
『……何で私なの？あんたは私に構わなくても友達なんていっぱいいるでしょ？』
別に夜嵐と一緒にご飯を食べるのが嫌だっていう訳じゃない。
ただ、「誰かと一緒にご飯を食べるのなんて私らしくない。」って考えてたりだとか、「あの子以外にご飯食べる友達いたのね。」なんて言われるのが嫌で、くだらない意地をはってるだけだ。
私は、素直になれない自分が嫌いだ。
「何でって……、んー……何でなんスかね。」
夜嵐は手をあごにやり、目線を左上に動かして考える。
いや理由がないわけがないだろう。いつも一緒にいる友達を放っておいて、私をお昼に誘っているのだ、多分罰ゲームかなにかに違いない。
ひねくれ者の見本、みたいな事を考えてても心の底では夜嵐の言葉の先に期待をしてしまうが、どうせたいしてよい理由ではないのだろうと自分に言い聞かせる。
「…うーん、一緒にご飯食べたいのに理由っていりますかね？」
『…へ？』
裏が見えないような、本当にそう思ってるかのような顔で、私の目をまっすぐと見つめる。
あぁ、やっぱり訳のわからないやつだ。
でも不思議と悪い心地はしなかった。
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 298人がお気に入り
お気に入り作者に追加
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
きのこ - 心操君と真堂君が、、、、グハァ(血吐 (2018年10月12日 21時) (
レス) id: b000323d2b (このIDを非表示/違反報告)
カリン(プロフ) - Ψ藤｡さん» ありがとうございます！よろしくお願いします！ (2018年9月27日 22時) (レス) id: 5f6ae5c170 (このIDを非表示/違反報告)
ユリ(プロフ) - Ψ藤｡さん» リクエストありがとうございます!遅くなってしまうのですが書かせていただきますね！ (2018年9月27日 22時) (レス) id: e541ce1bc4 (このIDを非表示/違反報告)
ユリ(プロフ) - カリンさん» リクエストありがとうございます！遅くなると思いますが書かせていただきます！ (2018年9月27日 22時) (レス) id: e541ce1bc4 (このIDを非表示/違反報告)
Ψ藤｡(プロフ) - リクエストいいですか？尾白君と心操君に夢主が取り合いされるって感じでお願いします！激甘で！ (2018年9月25日 20時) (レス) id: da15a7215d (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：ユリ | 作成日時：2018年7月7日 17時
