8話 ページ9
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それは、両親が私に一度だけ話してくれた、両親が“大事にしてるモノ”の話だ
何故その話だけ覚えていたのか私にも分からないが、両親といる中で、その時の事だけ色濃く覚えていた。まだ幼い私なりに大事なことだと認識していたのだろうか
「A。私達はね、大きな力を持っているの」
最初は夜兎の血の話だと思った
「いずれは貴女が受け継ぐことになるのよ」
「いい?決して私利私欲のためにこの力を使ってはダメ」
「この力は」
「守るものができた時、」
「それを守る為に使うの」
この後、“それ”は何者かに盗まれることになる
盗まれたことを知ったのは、両親がいなくなってから約一ヶ月が過ぎた頃だった
家の机の裏に手紙が張り付けられていた
手紙の内容は
“A、貴女がこれを読んでいるという事は、私達は取り返すことに失敗したのね
A貴女にお願いがあるの。
私たちの代わりに貴女がアレを取り返して
私達では取り返すことは出来なかった
今直ぐにとは言わないわ。
貴女が立派な夜兎になった時、地球に向かいなさい
心配しないでA。
貴女一人に背負わせるつもりは無いわ。
地球に行ったら、真選組という所を訪ねなさい。
きっと貴女の力になるわ
いつまでも貴女は私達の愛する娘よ
紅蘭”
それ以外の事はほとんど覚えていない
まるでそれが人生をかけてやらなければならない事のように、その事だけが脳裏に焼き付いた
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作者名:千春 | 作成日時:2019年8月15日 20時