【小説】百花繚乱 妖ノ宴 【募集企画】

1日目（1/16）　月夜の二人　【犬崎　恋】 ページ19

『すず、大丈夫！？』

「大丈夫よ」

そう言って、腕を見て笑い始める

「ああ、可笑しい。｣

『呪いかけられたのに何笑ってんの！』

｢さきには話してたよね？ほら、これ。｣

『印に呪いがかかっている････！まさか！』

｢気付いた？だから可笑しいの。｣

大分前に教えてもらった
すずの印に術が触れると、呪いが2倍の威力で帰ってくる。
これはすず以外には解くことができない
どんなに強い相手でも

｢うっ･･･｣

ただ、呪いが消える訳ではない。
掛けられた呪いは解けれる者に解いてもらわないと駄目ないのだ

｢恋、この呪いを弱めてくれない？｣

『俺が？無理だよ。威力はあったとしても、技術がないよ。失敗したら･･･』

｢失敗してもいいから。｣

『･･･やってみる。』

俺は呪い等を弱めることはできる
でも、かなりのリスクがあるんだ

ただでさえビビりな俺はなかなかこの術を使わない

でも、何もできないよりはいいのかもしれない

着物の姿に変わり俺は解呪を唱え始める
成功すれば呪いのかかった所が鈍く光り、7割ほど無くなるはずだ

『出てきた？』
｢できたよ(『できた、出てきたよ！』おっと、だからいきなり抱きついて来ないで。｣

嬉しさのあまり抱き付くと怒られてしまった

半妖の俺、すずは確かに人間の時は彼奴が言っていた通り弱い
ただそれは人間の時の話

あれほど出る気配がなかった月は
いつの間にか出て妖の姿になった俺とすずを照らす

ニヤける口元を着物の袖で隠し、俺は月の出た空を見上げた

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