悪女はまだまだ物足りない

弐拾参 ページ36

愛「…」


『…あ、愛佳…起きたの？』


私は有璃の声で愛佳の部屋に入る


愛「え、えぇ…」


し「では、改めて説明しますね。愛佳さんは、記憶を失っていたんです、それも、大切な過去のことだけ。これは、お館様からのお話で伺っていました」


愛「わ、私の記憶…」


『愛佳は…何かを思い出そうとしてるんだと思う』


し「その通りです。記憶を取り戻すのは、急な事です。この調子だと、いた記憶を取り戻してもおかしくない。と言う事で、今日から１週間。愛佳さんは蝶屋敷での生活となります」


愛「い、嫌よ！何で…！私のこと嫌いなくせに！」


『嫌いだよ』


し「…！有璃さん…！」


『愛佳のことは嫌い。私を虐めて、…私を殺しに与えた…愛佳は。でも、今は本当の声を出してくれた…。少しは私たちのことを信じてくれたんだって思う自分がいるの。…前までの愛佳は嫌いだよ』


愛「…私を殺しに与えた…って、死んだのはあいつの勝手でしょ？」


『…！』


愛佳…何でそんな考えができるの…？


甘「愛佳ちゃん…」


『蜜摛…！』


し「…甘露寺さん、来てくれたんですね」


甘「え、えぇ。倒れたって聞いて、任務すぐに終わらせたの…」


『そっか、お疲れ様。今は、愛佳は大丈夫だと思うの』


愛「あら？私の心配？それに、死んだのはあいつ。私は殺してないのよ。…何、分かったみたいな言い方してるの？死んだ原因は、一般人を庇った…でしょう？その場にいなかった私が、どうやって殺すって言うのよ」


『愛佳…』


私は大股で愛佳に歩み寄り、力一杯握りしめていた掌を愛佳の頬を叩く


パァン…！


愛「…な、…」


『何で…何でそんなこと言うのよ…！愛佳がもともと虐めてたんでしょ！良い加減にしろよ！』


愛「なに、よ！あいつが悪いのよ！私より愛されて！おかしいのよ！あんなブスが…！」


『ブスなことくらい、皆んな分かってる…！自分がブスって思わない人はいない！何であんたはいつも惨めな考えしか持てないのよ！殺す？はぁ？愛佳が悪いんじゃん！全て！愛佳がそれだけの理由でAの居場所を奪って！死にまで追いやって！完璧な隊律違反じゃん！何で…何であんたばっかり居場所を持っていくのよ…！何で…！何でなのよぉぉぉぉ！』


私は愛佳の胸ぐらを掴み、揺さぶる


愛「何で…！何であんたがそんなこと言うのよ！」


『親友だから！だから…！言うのよ！』


甘「有璃ちゃん…」


し「有璃さん…」


愛「落ち付けって…！ね、ぇ、私は悪くないのよ…！」

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