君はソメイヨシノ (ページ14)

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一度溢れた涙は、止めるのが難しくて

「ごめんなさい急に、あの、本当に気にしないで…」

自分、すごく迷惑だ。

與「泣いていいんだよ」

「…っ、」

そう思っていた私の感情とは裏腹に

ふわりと優しい香りがしたかと思えば、奨くんの腕の中にいた。

與「大人っぽいって言ったけど、本当はまだ子供なのちゃんとわかってる。無理もないよ」

「奨、くん…」

與「大丈夫、もうひとりになんてさせないから…我慢してたんでしょ？迷惑なんて思わないで、そんなわけないんだから」

「っ……う…うぅ………」

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それから涙が止まるまで、奨くんはずっと私の事を抱きしめてくれていた。

幸い誰もリビングには来なくて、恥ずかしい状況は見られずにすんだけど！

「ごめんなさい、私初日から相当な失礼を…」

與「もう、だから大丈夫だって！俺は嬉しいよ、Aがちゃんと本音言ってくれて」

「私もまさかあそこまで取り乱すと思わなかったです…」

でも、何より…

「は、恥ずかしかったけど、嬉しかった……ありがとうございます」

久しぶりに人の温もりを感じられて、やっぱり何より嬉しかった。

與「…ひとつ言うと、俺も一応恥ずかしかったから…みんなには内緒ね？」

そう言って、口の前で人差し指を立てた奨くん。

…最年長でそれは、ずるいです。