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いつもの待ち合わせ
場所に行くとすでにキミはいた
「おう」
あ「おう」
「どこ行こうか?」
あ「裕太はどこ行きたい?」
「ちょっと本、見たいかも」
本を見たあと、カフェに入る
俺が買った本の表紙を見てると
あ「おもしろそうだね」
「だろ」
あ「でも難しそう」
「なんかおもしろい内容あったら話すよ」
そんなやりとりをして、コーヒーをすする
ここまで、違和感なかった
だからこのまま踏み込まない
選択肢もあったんだけど
でもやっぱ、聞かずにはいられなかった
「Aはさ、俺にとっての未来から
今日に遡って来てんだよな」
あ「そうだよ」
「ということはさ
最後の別れるときの俺と会って、今こうして
今の俺と会ってるってことなんだよな」
あ「まあね」
「それってどんな気持ち?」
あ「不思議な気持ち、だよ
他に言いようない」
「まあ、そうか
あのメモ帳は俺が話したことなんだっけ?」
あ「そう、5年前…
裕太にとっては5年後だよね
25の裕太に話してもらったことだよ」
25歳の自分がどうしてるのか、ものすごく
聞きたい衝動に駆られたけど我慢した
聞いてしまうと未来が変わって
しまうかもしれない
叶う夢も叶わなくなってしまいそうで怖いから
あのメモ帳には、日付とその日に何があるかが
数行で書き留めてあった
何も書いておらず、飛ばされてる日もある
文末に☆などの記号がついてあったけど
それについては‘‘忘れた’’と言われた
「あそこに書いてることを、なぞってんだよね
どうして?
別に全く同じじゃなくても困らない
気がするんだけど」
あ「そんなことないよ」
キミは珍しくはっきりと否定した
あ「だってそうしないとさ
裕太に信じてもらうことは難しかったと思うの
そのためにいろいろあったでしょ、段取り」
「そうか」
あ「私たちの辿ってきた、辿って行く
大切な歴史を守らなきゃ。だから」
「そうだな、すごく不思議だ
5年後の俺が教えた流れを、Aは
今の俺に体験させてる
それってどっちが先でどっちが後なのか
もうわかんなくないか」
あ「確かに」
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作者名:ありす | 作成日時:2015年10月3日 20時